ザッハーク
分 類 | ペルシア・ゾロアスター神話 |
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ضحّاک〔Zahhāk〕(ザッハーク)【ペルシア語】 | |
容 姿 | 両肩に蛇を生やした王。 |
特 徴 | 暴君。 |
出 典 | 『シャー・ナーメ』(11世紀)ほか |
毎日、2人の人間の脳味噌を喰らう蛇王!?
ザッハークは『シャー・ナーメ』に、両肩に蛇が生えた邪悪な王として登場する。アラビアの王子であったザッハークは美男子で頭の回転は早かったが、思慮に欠ける性格であった。彼の前にアーリマン(アンラ・マンユ)が現れ、父を殺して王位を簒奪するように誘惑した。ザッハークは誘惑に負け、アーリマンに父親を殺させて王位に就く。
アーリマンは給仕に変身してザッハークに仕えると、豪華な食事を提供し、ザッハークを満足させた。ザッハークは給仕を呼び、望みの褒美を与えると言った。すると、給仕は王の両肩への口づけを所望した。給仕が肩に口づけをした途端、ザッハークの両肩から2匹の黒い蛇が生えてきた。この蛇は切っても切っても次々と生えてくる。国中の医者が呼ばれたがどうにもならない。再びアーリマンは医者に化けてザッハークの前に現れると、蛇に毎日、2人の人間の脳味噌を喰わせれば、いずれ死ぬと助言した。
こうして、ザッハークは毎日、2人の人間を蛇に喰わせることになった。ザッハークは隣国イランに侵入すると、イランも支配下に置いた。イランの民人も、ザッハークの2匹の蛇の餌食となった。
ザッハークは、英雄フェリドゥーンが自分の支配に終止符を打つという夢を見た。そして、国中でフェリドゥーンを探し回った。フェリドゥーンの父を捕えて処刑したが、フェリドゥーンは母親と隠れて暮らし、やがて成長する。そして、ザッハークに不満を抱く民衆を引き連れて、ザッハークの城に進撃し、ザッハークはフェリドゥーンとの一騎討ちの末、倒される。フェリドゥーンがトドメを刺そうとするが、天使スラオシャがザッハークを捕縛し、ダマーヴァンド山に幽閉された。
アジ・ダハーカとなって復活!?
ザッハークの原型は悪竜アジ・ダハーカである。アヴェスター語のアジ・ダハーカ(ダハーカ竜)が転訛してザッハークとなった。ザッハークが両肩から2匹の蛇を生やしているのは、ザッハークが3頭3口6目のアジ・ダハーカの化身となったことを意味するとされる。
後世の伝承では、世界の終末のときには、ザッハークはアジ・ダハーカとして甦るという。そして、人間や動物を大量に貪り食う。そして、最終的には英雄クルサースパによって退治される運命にあるという。
《参考文献》
Last update: 2020/04/05