ヤクルーナ

分 類南米伝承(ペルー、ブラジル)
名 称 Yacuruna(ヤクルーナ)《水の人間》【ケチュア語】
容 姿ワニに乗り、首に大蛇を巻いた半魚人。灰緑色の身体で、指に水掻きを持つ。
特 徴アマゾン川の水中世界に棲み、夜、若い女性などを自らの宮殿に誘拐する。
出 典

水中の世界に人々を引き込む半魚人!?

ヤクルーナは南米のアマゾン川を支配する半魚人の妖怪である。灰緑色の身体で、手足の指には水掻きのような膜がある。常に大蛇を首に巻いている。水辺の水棲生物を操ることができ、しばしばアマゾンカワイルカに変身することもある。昼間は片目を開けたまま水中で眠っているが、夜になるとワニに跨ってアマゾン川を移動し、人間を見つけると水中に誘拐する。特に若い女性を見つけると、美男子に変身して誘惑し、水中に誘拐するとされる。誘拐された人間は、必ずしも危険な目に遭うわけではない。ヤクルーナは、水中にある自らの宮殿に犠牲者たちを連れて行くと、そこで豪華な食事や宴を振る舞うという。人間たちは、水中世界で暮らしているうちに、徐々にその姿を変えていき、最終的にはヤクルーナとなって、彼らの仲間入りを果たしてしまう。

アマゾン川周辺の先住民たちは、熱帯雨林で行方不明になって戻ってこない人間がいると、ヤクルーナにさらわれて、水中の宮殿で暮らしていると信じたのかもしれない。

ユニバーサル映画『大アマゾンの半魚人』(1954年)に登場する半魚人の怪物ギルマンはヤクルーナの伝承がモデルになっている。また、『シェイプ・オブ・ウォーター』(2017年)に登場する謎の生き物も、ヤクルーナがモデルになっている。

《参考文献》

  • 『南米妖怪図鑑』(文:ホセ・サナルディ,画:セーサル・サナルディ,ロクリン社,2019年)

Last update: 2022/03/13

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