ヴァースキ

分 類インド神話
名 称 वासुकिvāsuki〕(ヴァースキ)【サンスクリット】
和修吉(ワシュキツ)【日本語】
容 姿千の頭を持った竜。
特 徴「乳海攪拌」の神話で、霊薬アムリタをつくるために攪拌棒となった。

頭と尻尾を神々とアスラ族に引っ張られて、大綱引き!?

インド神話の蛇神ナーガの王。「乳海攪拌」という神話の中で活躍する。

非常に古い時代、まだ神々が世界の支配権を確立していなかったときに、神々が年老いてその権限が衰えてしまい、悪神であるアスラ族が神々から権力を奪おうとした。そこで神々は不老不死の霊薬アムリタをつくり、それで生気を取り戻そうとする。天界の大海にさまざまな素材を投げ込み、マンダラ山を引き抜いて、それで海を掻き混ぜてアムリタを得ようという壮大な計画だ。

大亀アクーパーラ、あるいはヴィシュヌ神が化身した大亀クールマが背中にマンダラ山を乗せ、海底で支えると、神々はマンダラ山に竜王ヴァースキを巻き付けた。そして神々とアスラ族とで協力し、この竜王を両端から引っ張った。マンダラ山はぐるぐる回転し、海を掻き混ぜた。

ヴァースキはあまりに引っ張られるため、苦しくなって口から猛毒ハラーハラ(हलाहल)を吐き出し、危うく世界を滅ぼしそうになった。慌ててシヴァ神が毒液を全部飲み干したため、事なきを得たのだという。シヴァ神の頭が真っ黒なのは、このときにヴァースキの猛毒がシヴァ神の咽喉(のど)を焼いたためなのだとされる。さて、こうしてヴァースキを綱として攪拌された海はやがてミルク状になり、神々は霊薬アムリタが得ることができたのである。

なお、ヴァースキは仏教にも取り込まれ、仏法を護る八大竜王の一つ、「和修吉」となった。彼は須弥山を守護する多頭竜と想像されている。

《参考文献》

Last update: 2011/07/24

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