西端逆運魔王

分 類日本伝承
名 称 西端逆運魔王(せいたんぎゃくうんまおう)【日本語】
容 姿不明。
特 徴流行病を引き起こす。
出 典宮地水位『異境備忘録』(1928年)

流行病を引き起こす西側世界の魔王!?

西端逆運魔王(せいたんぎゃくうんまおう)は、宮地水位『異境備忘録』(1928年)に登場する魔王。

宮地水位(みやじすいい)は高知県高知市にある潮江天満宮(うしおえてんまんぐう)の宮司で、幽体離脱して幽冥界を往来したときのことなどを備忘録として残している。それが『異境備忘録』である。残念ながら、彼自身は悪魔界には行かなかったようだが、明治13年(1880年)7月の夜、魔王の一行が行列で空を移動するのを川丹先生と呼ばれる仙人(2000年以上も生きた!)と目撃し、彼に魔王について教えてもらったという。

それによれば、その昔、悪魔界は2つに分裂したという。一方の悪魔界のトップは造物大女王で、以下、たくさんの悪魔たちが存在しているらしい。そして、もう一方の悪魔界のトップが西端逆運魔王で、流行病を引き起こすのはこの魔界の魔王たちの仕業のようだ。

この西端逆運魔王率いる魔界の悪魔たちは、日が沈んでから現れて、日の出の前には立ち去る。すなわち、夜にやってくる悪魔らしい。西端逆運魔王は、地球の西方の濁りが積もり積もって、その悪気の中から生じたという。

氷厘亭氷泉氏は『大佐用』第295号(2024年07月29日)の中で「西端」が「サタン」に由来する可能性を指摘している。また、西端逆運魔王が流行病を引き起こすのは、鎖国していた日本が開国して以降、ヨーロッパからコレラや赤痢、腸チフスなどのさまざまな水系感染症が持ち込まれたことに着想を得ている可能性もある。

《参考文献》

Last update: 2024/09/06

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