オメテオトル

分 類アステカ神話
名 称 Ōmeteōtl(オメテオトル)《二面性の神》【ナワトル語】
 Ōmetecuhtli(オメテクトリ)《二面性の主》、Ōmecihuātl(オメシワトル)《二面性の女王》【ナワトル語】
 Tōnacatecuhtli(トナカテクトリ)《我々の栄養の主》、Tōnacacihuātl(トナカシワトル)《我々の栄養の女王》【ナワトル語】
容 姿年老いた神。両性具有。あるいは男女二対の神。黄色い肌。
特 徴原初神。対立する二項を内包する神。神々の祖。テスカトリポカやケツァルコアトルなどを生んだ。
出 典

アステカの二元論を象徴する原初神!?

オメテオトルはアステカ神話の原初神で、世界の最上層(地上から上に13層目)にあるというオメヨカンに住んでいる。オメテオトルは《両面性の神》という意味で、男女両方の性別を併せ持った両性具有の神さまで、その他にも光と闇、死と死、静と動、秩序と混乱など、対になる相反するものを内包した神である。非常に抽象的で分かりにくい神ではあるが、本来、古代アステカでは、創造は二者の対立や衝突の結果として起こると考えられていたらしい。そういう意味では、オメテオトルはまさにこのアステカの二元論を象徴した神と言える。

しかし、対立する2つの項目を内包する両性具有の神さまというのは難解で想像しにくいためか、絵文書では男女一組の神として表現されることの方が多い。この場合、男性的な側面はトナカテクトリ(あるいはオメテクトリ)、女性的な側面はトナカシワトル(あるいはオメシワトル)と呼ばれるが、いずれも年老いた神として描かれる。

4柱の子供たちが世界を創造!?

原初神のトナカテクトリとトナカシワトル(すなわちオメテオトル)には4柱の子供がいる。一般的には、「黒のテスカトリポカ」(テスカトリポカ)、「赤のテスカトリポカ」(カマシュトリ、あるいはシペ・トテク)、ウィツィロポチトリケツァルコアトルであるとされる。おそらく、歴史を経て、現在の主要な神々に置き換えられたと考えられる。

いずれにしても、オメテオトルはテスカトリポカやケツァルコアトルなどの主要な神々を生み出し、創造を子供たちに譲り、神話の表舞台から消える。その後のアステカ神話は、テスカトリポカとケツァルコアトルの2人の神さまの対立と協力を軸に世界の創造と破壊が繰り返されていくことになる。

なお、オメテオトルに捧げられる祝詞はたくさん残されているが、この神を祀った神殿は知られていない。

Last update: 2021/10/16

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