ナーン・タキーアン

分 類タイ伝承
名 称 นางตะเคียนNang Takhian〕(ナーン・タキアン)《タキアン婦人》【タイ語】
容 姿赤や黄色の伝統衣装に身を包んだ若い女性。
特 徴タキアンの樹に宿る精霊。勝手に樹木を伐採すると祟られる。
出 典

事前に彼女の了解を得て伐採しましょう!?

ナーン・タキアンはタイ伝承に登場するタキアンの樹に宿る女性の精霊である。タイでは樹木にはしばしば精霊が宿っていると信じられ、ナーン・マーイと呼ばれる。その中でも、タキアンの樹は樹高が30~45メートルと非常に大きく、樹齢も長いことから、タイではナーン・タキアンが宿っている樹木として信仰の対象となっている。彼女は赤や黄色などのタイの伝統衣装に身を包んだ若い女性の姿で描かれる。ナーン・タキアンの宿っているタキアンの樹を伐採すると恐ろしい報復を受けるので、誤って伐採しないように、人々は三色布*を巻き付けた。ナーン・タキアンの祟りが描かれたホラー映画『タキアン』(2003年)などが制作されている。

その一方で、タキアンの樹は家の柱や船の竜骨に用いるのに最適であるため、仮にナーン・タキアンの宿っている樹木を切り倒すときには、儀式を執り行い、事前に彼女の承諾を得ておく必要がある。建物の柱などに加工されたときには、彼女はそのまま柱に宿って建物の守護者となる。同様に、船に加工されたときにも、彼女は船の守護者に変化する。

* 三色布は、タイ語ではผ้าสามสี(パーサームシー)と呼ばれている。赤、緑、黄色の3色が一般的。シルク地で長く、幹をぐるりと1周巻きつける。

宝くじの当選番号を教えてくれる!?

タイでは昔から宝くじが盛んだが、近年、ナーン・マーイ(特にナーン・タキアン)が宝くじの当選番号を教えてくれる存在としても崇拝されている。各所に宝くじの当選番号を教えてくれる神木があって、三色布が巻かれている。線香を供えて当選を祈ると、当選番号を教えてくれることがあるらしい。当たった場合には、お礼にドレスを彼女に捧げる必要がある。たくさんのドレスが吊るされている神木(タキアンの木が多い)もある。

《参考文献》

Last update: 2024/04/29

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