クユーサー

分 類イスラーム
名 称 【言語】كيوثاء〔Kuyūthā'〕(クユーサー)【アラビア語】
Kujata(クジャタ)【英語】
容 姿巨大な牛。
特 徴世界を支える。
出 典『千一夜』(9世紀頃)、ザカリーヤー・アル=カズウィーニー『創造物の驚異』(13世紀)ほか

世界を支える巨大な牡ウシ!?

クユーサーはアラビア伝承に登場する巨大牛。英語では「クジャタ(Kujata)」と記すため、クジャタという表記の方が一般的かもしれない。

クユーサーはこの世界を背中で支えている。中世アラビアの世界観によれば、クユーサーの背中からは緑色の宝石の山がはえていて、その上に天使(マラク)が立っている。そして、その天使が双肩で我々の住む大地を支えているのだという。クユーサーは4万の目、耳、鼻、口があり、4万の歯と脚をはやしているという。1つの目からもう1つの目までは、歩いて500日はかかるというから途方もない話なのだが、そのクユーサーもバハムートという巨大魚の上に乗っかっており、さらにはそのバハムートが泳ぐ海はファラクという巨大蛇が大きな口を開けている中にあるというから、アラビアの世界観はものすごい。

クユーサーは海面に鼻を浸しており、1日に1回だけ、呼吸をするという。息を吐くと海面は上昇し、息を吸うと海面は下がる。これがすなわち潮の干満の原因なのだという。

なお、クユーサー(巨大牛)とバハムート(巨大魚)はユダヤ・キリスト教のレヴィアタン(巨大魚)とベヒモス(巨大獣)がアラビアに入る過程で、それぞれが言葉としては転訛し、対象としては取り違えられたものと考えられている。

《参考文献》

Last update: 2019/11/09

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