クマントーン

分 類タイ伝承
名 称 ผีกุมารทอง(ピー・クマン・トーン)《黄金の少年の霊》【タイ語】
容 姿タイパンツを履いてお団子頭の少年。
特 徴家の祭壇で祀ることで家を繁盛さえ
出 典

幸福をもたらす胎児の霊!?

クマントーンはタイの民間伝承に登場する子供の霊、あるいはそれをかたどった人形。伝統的なタイパンツを履き、お団子頭の少年の姿で描かれる。日本の座敷童子のように、家に憑いて、丁寧に祀ればその家を繁盛・繁栄させると信じられている。ナムデーン(赤いシロップのような液体)が大好物だとされる。タイでは商売繁盛を祈って、店舗などに祀られている場合も多い。

近年では、かわいらしいマスコットのような姿でタイの人々に親しまれているが、元々は胎児の死体から製造される恐ろしい呪術的なアイテムだった。出産の際に母子ともに亡くなってしまった場合、母親は悪霊であるピー・ターイタンクロムになると恐れられたが、胎児の方は福をもたらす存在になるとして、呪術師は墓を暴き、母親の腹を割いて胎児の死体を取り出して、火で炙ってミイラにした。そして、胎児の死体に漆を塗り、そこに金箔を貼った。ここに死んだ胎児の霊を降ろすと、ピー・クマントーンになる。このピー・クマントーンは高額で取り引きされたという。クマントーンを購入した(実際には「借りた」という表現が用いられたようだが)家では、クマントーンは祭壇に祀られた。やがて、その家では、姿が見えないものの、子供が歩き回るような音が聞こえ始め、袖を引っ張るなどのいたずらが起こるようになるという。そして、食べ物やお菓子を供えて丁寧に祀ると、クマントーンは家に降り掛かる災いを取り除き、大きな福をもたらすと信じられた。

当然、実際の赤ん坊の死体でクマントーンを作ることは難しいので、現在では木などで赤ん坊の姿をかたどって、そこに胎児の魂を宿しているという。このようなクマントーンが宿った像は現在でも、タイでは数百万円で取引されるし、今でも本物の死体でクマントーンをつくろうとする呪術師がいるようで、2000年代になっても、何度も事件になって呪術師が逮捕されている。

ちなみに、メルカリでもクマントーンを取り扱っていて、検索するとおどろおどろしい商品が大量に並んでいる(数十万円で取引されているものもある!)。

《参考文献》

Last update: 2024/04/07

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