虎狼狸(ころり)

分 類日本伝承
名 称 虎狼狸(ころり)【日本語】
容 姿トラ、オオカミ、タヌキの合成獣。
特 徴コレラを引き起こす獣として恐れられた。
出 典

コレラを引き起こす恐ろしい獣!?

虎狼狸(ころり)は日本伝承の妖怪。その字のごとく、トラ、オオカミ、タヌキが組み合わさったような合成獣で、江戸時代末期から明治期にかけて日本にコレラが蔓延したときに、コレラを引き起こす獣として恐れられた。何しろ、海外の船の往来とともに、謎の病が広まり、激しい嘔吐と下痢の後にあっという間に死んでしまう。当時の人々は、トンと声を掛けられるとコロリンと死んでしまうことから「トンコロリン」、あるいは3日ほどでコロリと死んでしまうことから「三日コロリ」などと呼んで、この病を恐れた。その原因も不明だったので、よく分からない妖怪の仕業とされた。江戸の町人・須藤由蔵(すどうよしぞう)は『藤岡屋日記』の中で、コレラを「アメリカのオサキ」などと称していた。

なお、コレラ菌がロベルト・コッホによって発見されたのは1884年である。

錦絵に描かれる虎狼狸!?

明治10年(1877年)の錦絵新聞では、オオカミの上半身、トラの下半身で、タヌキのような腹をした「虎狼狸獣」なる獣が口から病原菌を吐き出しているような絵が描かれている。また、明治19年(1886年)の錦絵『虎列刺退治』では、「虎狼狸」という名称は用いていないものの、上半身がトラ、下半身がオオカミで、タヌキの八畳敷き(巨大な金玉)をぶら下げた獣に対して、衛生隊の旗を掲げた集団が梅酢をぶっ掛けて退治しようとしている様子が描かれている。

こっくりさんの「こっくり」も漢字で書けば「狐狗狸」で、低級な動物霊の仕業とされた。

《参考文献》

Last update: 2023/10/07

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