木霊(こだま)

分 類日本伝承
名 称 木霊(こだま)【日本語】
木魂、木魅、谺、古多万(こだま)【日本語】
容 姿樹木の精霊。
特 徴樹木に宿っている。
出 典鳥山石燕『画図百鬼夜行』(1776年)ほか

百年生きた樹木には精霊が宿る!?

日本では古くから万物に精霊が宿ると信じられているが、樹木にも当然、精霊が宿っている。それが木霊(こだま)である。年を経た樹木には木の精霊が宿るとされる。

鳥山石燕が描いた木魅

百年の樹には神ありてかたちをあらはすといふ。

(鳥山石燕『画図百鬼夜行』「前篇陰」「木魅」より)

鳥山石燕は妖怪画『画図百鬼夜行』(1776年)の中で、百年生きた樹木には神が宿って姿を現すと説明していて、松の木のそばに老翁と老婆の姿を描いている。樹木の神なのかもしれないが、何故か箒と熊手を持っている。

なお、鳥山石燕は『百鬼夜行絵巻』と呼ばれる絵巻も描いている。こちらでは松と梅が描かれており、老翁と乙女が描かれている。おそらく梅の木の精が乙女であろう。

木霊は森の中で怪しい音を立てたり、人間の姿で出現したりする。たとえば、最上国(山形県)の「阿古耶と松」の伝承では、夜、松の木の前で阿古耶(あこや)姫が琴を奏でていると、どこからともなく笛の音がして、若者が現れた。阿古耶姫と若者は毎晩、合奏し、互いに惹かれていった。しかし、あるとき、名取川の橋が流され、新たな橋を作るために老松が伐られることになった。若者は阿古耶に、自分は老松の木の精であると正体を明かし、別れを告げる。その後、老松は切り倒されたが、人々が大勢で引っ張ってもびくともしない。阿古耶姫がそっと撫でて引っ張るとするすると動いたという。

木霊とは少し異なるのかもしれないが、菅原道真は大宰府に左遷されるとき、京都の屋敷内の庭木との別れを惜しんだ。道真を慕う庭木のうち、桜は悲しみのあまり、みるみるうちに葉を落として遂には枯れてしまった。梅と松は、道真の後を追って空を飛んだ。しかし、松は大宰府には辿り着けず、摂津国(兵庫県)に根を下ろした。しかし梅は、一夜のうちに大宰府まで飛んでいったという。現在でも、太宰府天満宮には「飛梅」として、梅の木が神木として祀られている。

このように、古い樹木というものには不思議な力があって、古い樹木を伐採しようとした樵(きこり)が謎の病に罹ったり、斧で伐ろうとしたら樹木から血が流れたりする。こういうのも木霊の仕業だという。

また、山や谷などで大声で呼びかけると返事があるのも「コダマ」とか「ヤマビコ」などと言うが、この現象も木霊の仕業なのだと説明される。

なお、『画図百鬼夜行』には、木魅とは別の妖怪として、山彦(ヤマビコ)も載っている。

《参考文献》

Last update: 2025/04/19

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