髪切り(かみきり)
| 分 類 | 日本伝承 |
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髪切り(かみきり)【日本語】 黒髪切り(くろかみきり)【日本語】 | |
| 容 姿 | 嘴(くちばし)とカニのようなはさみを持った妖怪。 |
| 特 徴 | 気づかないうちに髪を切り落とす妖怪。 |
| 出 典 | 佐脇嵩之『百怪図巻』(1737年)、菊岡沾涼『諸国里人談』(1741-1743年)ほか |
知らぬ間に人間の髪を切る妖怪!?
髪切り(かみきり)、あるいは黒髪切り(くろかみきり)は人間の髪の毛を切ってしまう妖怪である。
菊岡沾涼の説話集『諸国里人談』(1741-1743年)によれば、夜中に道を歩いていると、男女関係なく髪を結った根本から切られる事件が多発したという。本人は髪を切られたことに気づいておらず、帰宅後に周りの人に教えられる。探しに戻ると、結ったままで落ちているのが発見される。伊勢国の松坂(現在の三重県松阪市)で多く報告されているが、江戸でも発生したと記されている。同様の話は大田南畝の随筆『半日閑話』(18世紀後半頃)にも載っている。こちらは頭が重いと感じたら、忽然と髪が落ちたという。落ちた髪には粘り気と臭気があったという。
浮世絵師の歌川芳藤の錦絵『髪切りの奇談』(1868年)では、番町(現在の東京都千代田区)で、夜、厠を訪れた女中が真っ黒なものに襲われ、頭を触られて気を失ってしまった。気がつくと髻(もとどり、髪の毛の束ねてまとめた部分)が2、3間(約4~5メートルほど)のところに落ちていたという。この錦絵には真っ黒い怪物が女の髻にかぶりつこうとしている様子が描かれている。
髪切りについては、昔から髪切り虫という妖虫の仕業だとか、キツネの仕業だなどと言われている。根岸鎮衛の随筆『耳嚢』(1804-1810年頃)の巻四「女の髪を喰う狐の事」では、これらの髪切りの正体はキツネだと説明されている。高崎城周辺(現在の群馬県高崎市)で3人の女性の髪が切られたので、野狐を捕らえて腹を切ると、腸の中に大量の髪の毛が詰まっていたという。一方、喜多村信節の随筆『嬉遊笑覧』(1830年)では、髪切りは「髪切り虫」という虫の仕業であるとされている。
佐脇嵩之の絵巻物『百怪図巻』(1737年)や村田龍亭の絵巻物『百鬼絵巻』(1764年)では、鳥のような嘴(くちばし)を持ち、はさみの手を持った妖怪が描かれている。尾田郷澄の絵巻物『百鬼夜行図巻』(1832年)でも同じような妖怪が描かれているが、こちらは「天狗裸子」となっている。作者不詳・年代不詳の『化物づくし』(湯本C本)では、カニのような手で虫のような顔をした不思議な髪切りが描かれている。
なお、鳥山石燕の妖怪画集『画図百鬼夜行』(1776年)にも似たような妖怪が描かれているが、網剪(あみきり)という別の妖怪になっている。
《参考文献》
- 『大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで』(読売新聞社、2016年)
- 『続・妖怪図巻』(編著:湯本豪一,国書刊行会,2006年)
- 『妖怪図巻』(文:京極夏彦,編:多田克己,国書刊行会,2000年)
Last update: 2026/07/26
