アマビコ
分 類 | 日本伝承 |
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海彦(アマビコ)【日本語】 尼彦(アマビコ)、阿磨比古(アマビコ)、天日子尊(アマビコノミコト)、尼彦入道(アマビコニュウドウ) | |
容 姿 | 3本足の猿のような妖怪。 |
特 徴 | 豊作と疫病の流行を予言し、自分の姿を描くように伝えた。 |
出 典 | - |
三猿に由来する予言獣!?
アマビコは天保14年(1843年)頃に肥後(熊本)に出現したとされる妖怪。3本足の猿のような姿で海から出現し、猿の声で人を呼んだ。そして「私は海中に住むアマビコと申すものである」と名乗り、この先の豊作と疫病の流行による大量死(6割、あるいは7割、あるいは半数が死ぬなど文献によって異なる)を予言した。そして、アマビコの姿を書き写して見れば死を逃れられると伝えた。明治3~9年の間にも肥後や越後(新潟)、日向(宮崎)に出現した。アマビコと遭遇する場所は架空の地名であることが多く、また、遭遇する人物として「シバタ(柴田、芝田)」という苗字の武士が登場するなどの類似性がある。
新型コロナウイルス感染症で一躍有名になったアマビヱは、実はアマビコの「コ」を「ヱ」と誤記したものではないかとされる。また、猿でありながら海に出現する不自然さがあり、古くから豊作と疫病を予言し、厄除けとして自分の似姿を描かせるジンジャヒメという妖怪の要素を引いている可能性が指摘されている。
なお、石塚豊芥子『街談文々集要』に文化11年(1814年)4月、「當年は世界七分通死亡致し、是を逃れ候には、再正月を祭候へば、右病難相除候」「川越の近在にある庚申塚の森に、猿三疋集りて言出せし」「坂本日吉山王の神猿申けるは、当年は天下豊年なりと云、又一疋の猿云には、然ども人々の死亡多からんと云々、又一疋の申には、今年も明け新年と改め候はゞ、宜からんと申」として、この三猿の予言が「明言神猿記」と題された半紙二枚綴りで町中で売り歩かれた記録が残されている。「豊作」と「7割の人が死ぬ」という予言、厄除けとして半紙が売られた点など、アマビコとの類似性があり、ジンジャヒメのストーリーと一緒になって広まった可能性が指摘されている。
《参考文献》
Last update: 2021/01/03