柳女

分 類日本伝承
名 称 柳女(やなぎおんな)【日本語】
容 姿赤ん坊を抱いた女の幽霊。
特 徴柳の木の下に現れる。
出 典桃山人『絵本百物語』(1841年)ほか

柳の下の幽霊!?

昔から「柳の下の幽霊」という表現があって、柳の下には幽霊の類いがいると信じられた。まさにそれをしめしているのが桃山人の『絵本百物語』(1841年)に載っている柳女(やなぎおんな)で、竹原春泉斎が添えた絵には、柳の下に赤ん坊を出した女の幽霊が描かれている。

竹原春泉斎の描く「柳婆」

若き女の児をいだきて風のはげしき日柳の下を通りけるに咽を枝にまかれて死しけるが其一念柳にとゞまり夜な〱出て口をしや恨めしの柳やと泣けるとなん。

若い女が子を抱いて風の激しい日に柳の下を通ったところ、喉が枝に絡まって死んでしまった。その無念が柳に留まって、夜な夜な女が子を抱いて「口惜しいなあ、恨めしい柳だなあ」と泣くという。

(『絵本百物語』巻第十二「柳おんな」より)

ちなみに、桃山人は中国の宋の士捷(ししょう)という人間が柳に食われて死んだという言い伝えを紹介しているが、このような故事が載った中国の文献は確認できないので、桃山人の創作なのかもしれない。

また、桃山人は、松が勇猛な姿で男性になぞらえられるのに対して、柳の木は優美なその姿のために女性に似ているとして、今では辻君(夜間に通行人を誘う売春婦)も柳の下に立つと皮肉交じりに書いている。

桃山人は同じ『絵本百物語』の中で、柳婆(やなぎばば)という妖怪も紹介している。そちらは年老いた柳に宿った精である。

《参考文献》

Last update: 2025/09/06

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