ヴァイローチャナ/毘盧遮那如来

分 類仏教
名 称 वैरोचन 〔vairocana〕(ヴァイローチャナ)《広く照らすもの》【サンスクリット】
毘盧遮那如来(びるしゃなにょらい)【日本語】
容 姿衲衣を着た修行僧の姿。非常に巨大。
特 徴仏教の教えそのものを神格化した如来。毛穴から釈迦如来が出現する。
出 典『華厳経』(4世紀頃)や『梵網経』ほか

仏教の教えそのものを神格化した如来!?

毘盧遮那如来は『華厳経』や『梵網経』などで信仰される如来。ヴァイローチャナとは《広く照らすもの》という意味で、宇宙の中心で世界中を照らすとされる。

毘盧遮那如来は、法身仏(ほっしんぶつ)と言って、仏教の教えそのものを神格化した如来(タターガタ)である。『華厳経』や『梵網経』などでは、ゴータマ・シッダッタがこの世で説いた教えそのものが毘盧遮那如来であり、釈迦如来(シャーキヤムニ)は毘盧遮那如来の化身であると解釈される。そのため、たとえば『華厳経』では、毘盧遮那如来の毛穴のひとつひとつから煙とともに無数の釈迦如来が出現する。『梵網経』では、毘盧遮那如来の座る蓮華の花びら1枚1枚に釈迦如来が座っているとされる。

聖武天皇、奈良の大仏を建立する!?

この壮大な世界観を実現しようとしたのが聖武天皇で、実は奈良の東大寺の大仏は毘盧遮那如来である。このように大きなスケールで大仏が建造されたのは、毘盧遮那如来が釈迦如来よりも巨大であることを表現しようとしている。聖武天皇は東大寺に毘盧遮那如来を建造後、各地に国分寺を建設して、釈迦如来を安置していった。これも毘盧遮那如来と釈迦如来の関係性を再現しようとしたものである。唐招提寺にも毘盧遮那如来が安置されているが、背後には1,000体の釈迦仏(現在864体)が取り付けられている。

《参考文献》

Last update: 2020/05/25

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