トラロック

分 類アステカ神話
名 称 Tlāloc(トラロック)《大地に座すもの》【ナワトル語】
容 姿大きな目と犬歯を持つ神。壺を持ち、水とトウモロコシが流れ出ている。
特 徴雨と稲妻の神。恵みの雨をもたらす一方、洪水や嵐も引き起こした。3番目の世界の支配者。
出 典

雨とともに恵みをもたらす神!?

トラロックはアステカ神話に登場する雨と稲妻の神。農耕の守護神でもあり、乾季の終わりに雨をもたらす。一方で、洪水や嵐ももたらす。

トラロックはアステカ族以前のメソアメリカのさまざまな文化で信仰された古い神で、ぎょろっとした目と犬歯が特徴的である。また、壺を持ち、壺から水とトウモロコシが流れ出る姿で描かれる。

トラロックにはチャルチウトリクエという対になる水の女神がいて、兄弟神であり、配偶神とされることもある。また、花の女神ショチケツァルを妻としたが、これは後にテスカトリポカに奪われる。

トラロックは山の神でもあり、山の洞窟に住むとされ、トラロック山は聖なる場所として、巡礼の対象となり、雨乞いの儀式が行われた。しばしば、子供が生け贄に捧げられた。

トラロックの信仰は古く、マヤ文明では雨の神はチャックと呼ばれている。チャックは長い鼻を特徴としている。

第3の太陽の時代を統治した神!?

アステカ神話の「5つの太陽の神話」では、世界は何度も創造と破壊を繰り返していて、現在は5番目の世界(第5の太陽の時代)だとされている。2番目の世界(第2の太陽の時代)はケツァルコアトルが支配していたが、ハリケーンによって世界は吹き飛ばされてしまった。そこで、3番目の世界(第3の太陽の時代)では、トラロックが「雨の太陽」として世界に君臨した。しかし、火の雨が降って滅亡してしまった。そして4番目の世界(第4の太陽の時代)では、チャルチウィトリクエが「水の太陽」として世界に君臨したという。しかし、大洪水が発生し、第4の太陽の時代も滅び、人々は魚に変えられてしまったという。しかも大洪水によって山々が押し流されたため、天空が崩れ落ちてきたという。

こうして4つの時代が終わった後、テスカトリポカとケツァルコアトルは協力して世界を再生させ、現在の世界、すなわち、第5の太陽の時代を迎えている。

《参考文献》

Last update: 2021/10/16

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