ティティウィッルス

分 類ユダヤ・キリスト教
名 称 Titivillus(ティティウィッルス)【ラテン語】
容 姿背中に大きな袋を背負った小悪魔。
特 徴聖職者の誤字脱字を蒐集して地獄に報告する。
出 典ヨハンネス『悔悛論』(1285年頃)など

聖職者の誤字脱字を蒐集する悪魔!?

ティティウィッルスは中世ヨーロッパにおいて、聖書などを書き写す修道士たちの誤りを集める悪魔として恐れられた。単なる写し間違いにとどまらず、礼拝中の言い間違い、怠慢による省略、さらには無駄話まで記録して袋に詰めて地獄へ持ち帰ると信じられていた。

この悪魔の名前が初めて登場するのは、ウェールズのヨハンネスによる『悔悛論(Tractatus de Penitentia)』(1285年頃)である。ティティウィッルスはベルフェゴールやサタンに仕える悪魔で、怠慢な聖職者が省いた音節を集める存在だと記されている。

姿はインプのような小悪魔で、背中の大きな袋に誤字や脱字の記録を詰め込む。15世紀頃の壁画や写本挿絵などでは、文字を書いている修道士たちの様子を、背後からこっそりと覗く姿がたくさん描かれている。

当時の文献では、ティティウィッルスは「毎日、言葉の失敗を1,000袋集めて主に届けなければならない」と自己紹介しており、仕事熱心な悪魔である。中世では、聖書の書き写しは非常に重要で、絶対に書き損じは許されなかった。ティティウィッルスは、修道士たちを常に監視し、無駄話や転写ミス、言い間違い、読み飛ばしを見つけると、嬉々として袋に集めて地獄へ持ち帰る。そんな恐ろしい悪魔として修道士たちから恐れられていたわけである。

誤字脱字はティティウィッルスの仕業!?

アメリカのマーク・ドロジンは『中世書法:歴史と技法』(1980年)の中で、ティティウィッルスを「筆写者を甘やかす悪魔」と呼んでいる。彼は、中世の写本制作の誤字脱字がティティウィッルスの仕業だとして、修道士たちが誤植の言い訳として使ったと解釈したようだ。もちろん、これは現代的な解釈だが、ティティウィッルスが誤字脱字を引き起こすという解釈は現代に一般に膾炙している。

写本をしている最中に、背後から絶えずティティウィッルスに覗かれていると思うと、気が気ではなく、集中力を削がれて文字を書き損じることもありそうだ。

《参考文献》

Last update: 2026/05/04

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