タガマリン
分 類 | フィリピン伝承 |
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Tagamaling(タガマリン)【フィリピン諸語】 | |
容 姿 | 1つ目で牙をはやした醜悪な怪物。 |
特 徴 | 月の満ち欠けによって善良にも邪悪にもなる。 |
出 典 | - |
月の半分は善良な神で残りの半分は恐ろしい怪物!?
タガマリンはフィリピンのミンダナオ島に伝わる妖怪。ブソの仲間だとされるが、ブソが邪悪な悪霊であるのに対して、タガマリンは月の満ち欠けによってその善悪の性質が変化する。ときには神として崇拝され、ときには悪魔として恐れられる不思議な存在である。
たとえば、マンダヤ族は布の織り方を人々に教えたのはタガマリンだとと信じている。マノボ族はタガマリンのことを農作物の守護者だと見做している。バゴボ族も鹿や豚などの獣たちの守護者だと説明する。このように、タガマリンは崇拝の対象である。
しかし、タガマリンは他のブソと同様、その真の姿は背の高い1つ目で牙を生やした醜悪な二足歩行の怪物だとされる。そして、このような恐ろしい姿なのは、満月から新月までの間だけで、うっかりこの時期にタガマリンと遭遇してしまうと、襲われて喰われてしまう。しかし、新月から満月までの間は善良な性質を示し、ときには人間のような姿で現れるのだという。
英語のウェブサイトなどでは、タガマリンの性質が月の満ち欠けによって1か月ごとに変化すると解説されていることが多い。しかし、満月から新月、新月から満月の周期で性質が変化するのであれば、変化のインターバルは半月ごとだと思われる。満月の日に悪に転じて、新月までは人喰いの怪物になるが、新月を迎えると善神になって人々を守護する。しかし、また満月になると人喰いの怪物になる。広い意味で、満月をきっかけに怪物になるオオカミ人間と言えそうだ。
タガマリンは普段は山の大きな樹のてっぺんに棲んでいる。人間の目では見ることができないが、木のてっぺんには金色の家があるのだという。タガマリンは自分を怒らせた人間を岩に変える不思議な能力も持っているとされるので、決して怒らせてはいけない。
《参考文献》
- The Aswang Project: A Compendium of Creatures from Philippine Folklore & Mythology(英語)
- Art & Fiction + Philippine Folklore & Mythology: Monsters & other supernatural beings from Filipino folklore & myths(英語)
Last update: 2025/04/20