シレーナ
分 類 | フィリピン伝承 |
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Sirena(シレーナ)【フィリピン語】 ※ 男性版Sireno(シレーノ)【フィリピン語】 Magindara(マギンダラ)【フィリピン語】 | |
容 姿 | 上半身が人間、下半身が魚の尾。人魚。 |
特 徴 | 漁師などを誘惑して溺れさせる。 |
出 典 | - |
人間に災いをもたらす人魚!?
シレーナはフィリピン伝承に登場する人魚。海に囲まれた島国であるフィリピンには、バンタイ・トゥビグ(bantay tubig)と呼ばれる人魚や半魚人などの海の一族がたくさん知られている。シレーナやシレーノ、ショコイ、そしてカタウである。
シレーナは現代の日本人がイメージするところの「人魚」である。上半身は美しい人間の女性で、下半身は魚の尾になっている。男性版はシレーノと呼ばれる。
ただし、フィリピンの人魚は必ずしも善良というわけではなく、人間に災いをもたらす存在として忌み嫌われている。シレーナは美しい歌声で漁師を惑わして、船を暗礁に乗り上げさせたり、誘惑して海に引き込んで溺れさせたりする。ときにはシレーナの美しさに魅了されて海の底に逃げるシレーナを追いかけ続け、そのまま溺死することもある。ビサヤ諸島では「マギンダラ」と呼ばれている。フィリピンではシレーナはしばしば映画の題材にされるが、人間が呪われてシレーナになって迫害されたり、身代わりに別の人間がシレーナになるなどの題材が作中に現れる。
1952年に漫画家マルス・ラヴェロが漫画「ジェセベル(Dyesebel)」を描いた。これは魔法で人間になる人魚の物語で、主人公ジェセベルも人間の娘でありながら、人魚として誕生して迫害されている。最後に海の魔女の魔法で人間になる。この作品は人気を博して、その後、何度も映画化やドラマ化がなされている。
ちなみに、歌で船乗りを魅了するところはギリシア・ローマ神話のセイレーンに似ている。その名前の響きも含めて、もしかしたら、ヨーロッパの人魚の影響を受けた可能性はある。
《参考文献》
Last update: 2022/05/21