シギンチュン(食人虫)

分 類朝鮮伝承
名 称 식인충sig-in-chung〕(シギンチュン)《食人虫》【朝鮮語】
우충u-chung〕(ウチュン)《雨虫》【朝鮮語】
백사충baeg-sa-chung〕(ペクサチュン)《白糸虫》【朝鮮語】
容 姿白くて細長い毒虫。細い網に包まれている。
特 徴空から降って来て食べ物に入り込み、病を引き起こす。
出 典李『星湖僿説』(1760-1770年)、金宗瑞・鄭麟趾『高麗史節要』(1452年)ほか

空から降ってくる毒虫!?

シギンチュン(食人虫)は朝鮮半島の伝承に登場する空から降り注いで人に病を移す虫の妖怪。雨のように降ることからウチュン(雨虫)とも呼ばれる。白馬のたてがみのように白くて細長い姿で、細い網みたいなものに包まれているという。その姿からペクサチュン(白糸虫)とも呼ばれる。

空から降ってきた虫はさまざまな食べ物の中に入り込む。そして、この食べ物を通じて体内に入ったり、皮膚から体内に侵入したり、あるいは皮膚に直接くっついて肉を吸い取ったりする。特に魚や肉などを好んで入り込んでいる。

シギンチュンのほとんどは薬での退治や治療が困難だが、ネギの汁をシギンチュンに塗れば死滅するという。

シギンチュンは李瀷(イ・イク)の百科事典的な随筆集『星湖僿説(ソンホサソル)』(1760-1770年)の第4巻に登場する。それによると、シギンチュンが空から雨のように降り注ぎ、食べ物の中に入り込んだ。特に魚や肉の中にたくさん入り込んだが、白くて細長い虫だった。この年、深刻な伝染病が流行したが、これはシギンチュンのせいだとされている。

金宗瑞(キム・ジョンソ)や鄭麟趾(チョン・インジ)らが編纂した歴史書の『高麗史節要(コリョサジョリョ)』(1452年)にも、シギンチュンが登場する。1246年、高麗の第23代の高宗(コジョン)の時代、毒虫が雨のように降ったという。この虫は食べ物に入ったり、人の体に付着して皮膚から侵入したりして人を死に至らしめるため、シギンチュン(食人虫)と呼ばれたという。どんな薬を使っても死なないが、ネギの汁を塗ったら死んだという。

シギンチュンが降ってきた時代

シギンチュンが降ってきたとされるコジョン王の時代は、モンゴル帝国が勢力を拡大している時代だ。首都を開城(ケソン)から海に囲まれた江華島(カンファンド)に移し、守りを固め、モンゴルに対して徹底抗戦した。モンゴルによって朝鮮半島は破壊され、その結果、伝染病が拡大したという時代背景がシギンチュンの伝承に反映されている可能性がある。

《参考文献》

  • 『한곡 요괴 도감』(著:고성배,2019年)(韓国語)

Last update: 2026/01/30

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