ムーラ・セン・カベッサ

分 類南米伝承
名 称 Mula-sem-cabeça(ムーラ・セン・カベッサ)《首なしラバ》【ポルトガル語】
容 姿首のないラバ。本来、鼻孔のある場所から炎を吐く。
特 徴夜中に走り回る。正体は罪を犯して呪われた女性で、手綱を外すと元の姿に戻る。
出 典

呪われた女性、首なしロバになって町を走り回る!?

ブラジルでは、夜中、首なしのラバが町を闊歩することがあるらしい。これがムーラ・セン・カベッサで、茶色、あるいは真っ黒いラバで、首がない。木曜日の日没から金曜日の夜明けまでの間、片田舎に出没し、ウマよりも速く町中を疾走するという。

このムーラ・セン・カベッサは、本来は人間の女性だった。しかし、教会内での司祭との淫行、教会への冒涜、子殺し、果ては死体を喰らうなどの罪で、神に呪われ、このような姿に変えられてしまったのである。そして、頭がないくせに騒々しくいななき、ときには女性が泣いているような声をあげる。そして、本来、口があるところには手綱がつけられ、鼻孔のあるところから炎を吐くという。彼女は夜になると7つの教区を走り回る。彼女が走る前を横断すると、追いかけられ、踏みつけられる。しかし、彼女から手綱を外してやると、元の姿に戻る。彼女は悔い改め、手綱を外してくれた男性の妻になってくれるという。しかし、再び手綱を口にくわえさせると、彼女はまたムーラ・セン・カベッサの姿に戻ってしまうという。

なお、アルゼンチンやウルグアイにはアルマムーラという類似の妖怪がいる。こちらは炎を吐くラバで、首がついている。いずれにせよ、これらの南米のラバの妖怪は、スペインのカタルーニャ地方に中世から伝わるムラドナにその起源を求めることができそうだ。

《参考文献》

Last update: 2022/01/09

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