ももんがあ
| 分 類 | 日本伝承 |
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ももんがあ【日本語】 ももんぐわ【日本語】 | |
| 容 姿 | 長い頭に長い舌、毛むくじゃらの老人。 |
| 特 徴 | 隠居した妖怪たちの親玉。廃り者の妖怪。 |
| 出 典 | 羽川珍重『是は御ぞんじのばけ物にて御座候』(18世紀頃)ほか |

廃れ者の妖怪!?
ももんがあは日本伝承の妖怪。着物を頭にかぶって「ももんがあ!」などと大声を出して子供を脅かす遊びから発展した妖怪だとされる。江戸時代に庶民の間で流行ったようで、江戸時代の草双紙にしばしば登場する。しかし「流行りものは廃りもの」という諺のとおり、すぐに廃れてしまったようで、後代には、箱根の先に隠居した「廃れ者」の妖怪の代名詞になった。
その名前は動物のモモンガに由来する。モモンガは夜、皮膜を広げて空を滑空するが、これが顔に張り付いて驚かせるような野衾(のぶすま)のような妖怪とも考えられている。そのため、獣のような妖怪として描かれることが多いが、草双紙などでは長い頭を持ち、口から長い舌を伸ばした老人の姿で描かれることも多い。
見越入道 VS ももんぐわ!?
江戸時代の羽川珍重の『是は御ぞんじのばけ物にて御座候』(18世紀頃)という赤本には、新参者の妖怪として、見越入道と対立するももんがあが描かれている。作中では、妖怪の親玉である見越入道が妖怪たちを集め、「最近、子どもたちの遊びでも、ももんぐわを真似るようになっている。さあ、あいつを退治しようではないか!」という大号令で物語が始まる。結果、妖怪たちが見越入道の一派とももんがあの一派に分かれて合戦する。最後の1ページが欠落しているが、おそらく両陣営は和解して、宴を催す展開になるものと思われる。ここで描かれるももんがあはたくさんの化け物たちを率いて見越入道と対決する存在である。見越入道に妬まれるほど、江戸の庶民たちの間でももんがあが流行していたことが伝わる内容である。
一方、伊庭可笑の『化物一代記』(1786年)では、化け物の親玉の見越入道が轆轤首との間に子供を儲ける。しかし、轆轤首は身籠って以来、一度も首を伸ばさなかったため、産土神(うぶすながみ)が誤って人間の魂を入れてしまい、2人の間には人間の子が産まれてしまった。化け物の世界では育てられないため、見越入道は赤子を山に捨ててしまうが、それを拾って育てたのがももんがあである。しかし、『化物一代記』では「化け物のうちにても心良からぬ悪者」と表現されていて、山師の猫股に30両(現在の500万円ほど)で赤子を売り払ってしまう。化け物から生まれた人間の赤子は化け物たちの見世物小屋で見世物にされる。
十返舎一九の黄表紙『怪談深山桜』(1797年)では、すでにももんがあは丹波国に隠居している。そこにやって来た幽霊との間に子供を儲ける。しかし、幽霊が産んだ子供は人間の子供だったので、幽霊に騙されたと思ったももんがあは幽霊と赤子を化け物の世界から追い出す。その後、人間の赤子は成長して見越入道になっており、ももんがあは見越入道に化け方のことごとくを伝授し、見越入道が化け物たちの総お頭に就任する。ここに現れるももんがあは、まさに「廃り者」の妖怪である。
《参考文献》
Last update: 2025/12/10
