リャナン・シー
分 類 | イギリス伝承(アイルランド) |
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Leannán Sídhe(リャナン・シー)《妖精塚の恋人》【アイルランド語】 Lhiannan-Shee(ラナン・シー)【マン島語】 | |
容 姿 | 美しい女性の姿をした妖精。 |
特 徴 | 若い男性に愛を求め、引き換えに詩や歌などの才能を与える。ただし、精気を吸うため、男性は早逝する。 |
若い男性にとり憑いて詩歌の才能を与える!?
リャナン・シーはアイルランドに伝わる妖精で、アイルランドの緑の丘やマン島の泉の付近に出没する。若く美しい女性の姿で、いつも人間の男性の愛を求めている。リャナン・シーは詩人や音楽家に創造の霊感を与える妖精とされ、リャナン・シーの愛を受け入れた男性は、詩の才能や美しい歌声を与えてもらえ、名声を得られる。ただし、その代償として日々、リャナン・シーに精気(あるいは血)を吸われていく。そのため、才能と引き換えに早逝することになる。まるで吸血鬼のような存在とも言える。
ケルトの芸術家たち、とくに詩人の多くが短命に終わるのは、彼らがリャナン・シーの愛を受け入れ、命を削りながら作品を作り続けたからなのだという。リャナン・シーたちは堪らないほど美しいとされるが、残念ながら(?)、リャナン・シーの姿は、彼女が気に入った男性にしか見ることが出来ないという。類まれな詩人の横には、実は見えていないだけで、美しい妖精が立っているのかもしれない。
リャナン・シーが誘惑しても、男性がその魅力に応じない場合には、リャナン・シーたちは何とか振り向かせようと必死になって男性に奴隷のように従うという。しかし、男性が愛を受け入れてしまえば、その男性は取り憑かれ、精気を吸われてしまう。この美しき妖精からの誘惑は、彼女が別の男性を気に入ってターゲットにするまで続くというから、大変である。
ちなみにマン島のラナン・シーはアイルランドのリャナン・シーよりも悪質で、特定の男性につきまとうと、身も心も憔悴させて破滅させるという。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
Last update: 2013/05/20