ジェヴォーダンの獣

分 類フランス伝承
名 称 La bête du Gévaudan(ラ・ベーテ・ドゥ・ジェヴォーダン)《ジェヴォーダンの魔獣》【フランス語】
容 姿オオカミに似た怪物。ウシほどの大きさ。背中に黒い縞模様。
特 徴人間を襲って喰らう。頭をバリバリと噛み砕いて貪り喰う。
出 典

バリバリと頭を噛み砕いて人間を喰らう怪物!?

ジェヴォーダンの獣はフランスのジェヴォーダン地方(現在のロゼール県)に出没した謎の怪物である。1764年の夏に牛番の女性が目撃したのが最初である。オオカミのような怪物だが、ウシほどの大きさがあり、胸は広く、背中には黒い縞模様があり、尻尾は地面につくほど長かったという。ウシたちが追い払ったお陰で、女性は命からがら逃げることに成功した。通常、オオカミは集団で狩りをする習性があるが、この怪物は1匹で襲ってきた。また、ウシを狙わずにわざわざ人間を狙ってきた点も奇妙であった。

やがて最初の犠牲者が出た。14歳の少女で、内臓を喰われていた。その後も次々と被害が続いた。何人もの目撃証言が得られ、一様に村人たちはオオカミではないと主張した。次第に怪物は「ジェヴォーダンの怪物」と呼ばれ、恐れられるようになった。この怪物は手足や喉笛を狙わず、頭をバリバリと噛み砕いて貪り食った。

中尉アントワーヌのオオカミ退治!?

遂に噂はルイ15世の耳にも届き、1765年には懸賞金が懸けられ、征伐隊も派遣された。そして、9月に中尉アントワーヌの手で1匹のオオカミが仕留められ、剥製にされてヴェルサイユ宮殿でお披露目された。宮廷の人々は「これがあの人喰い獣か」と沸き、王は中尉に報奨金と勲章を授けた。

猟師ジャン・シャステルの怪物退治!?

しかし、どうやら射殺されたオオカミは偽物だったようで、その後も怪物の被害は続いた。住民たちが王に訴えたが、ルイ15世は剥製を手に入れて飽きてしまったのか、興味は惹けなかった。そこで住民たちは自らで怪物退治に乗り出す。1767年6月、300人の猟師たちが集まって獣を追い込み、遂に地元の猟師ジャン・シャステルが銀の弾丸で獣を撃ち殺すことに成功した。このとき、シャステルは聖書を読み、神に祈ったとされる。祈りの最中に怪物は出没したが、シャステルの祈りが終わるまで待ったとされる。それ以来、ジェヴォーダンの獣は出没しなくなった。確認されている記録では、3年の間に198回の襲撃があり、死者は88人、負傷者は36人であったとされる。別の記録では306回の襲撃、死者123人、負傷者51人だったとも言われる。

《参考文献》

Last update: 2023/05/04

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