カリ

分 類インド神話
名 称 कलि 〔kali〕(カリ)【サンスクリット】
容 姿
特 徴悪魔。人にとり憑いて賭博狂いにして破滅させる。
出 典『マハーバーラタ』(前6世紀頃)ほか

サイコロの最悪の目でナラ王を破滅させる悪魔!?

カリはインド神話に登場する悪鬼。『マハーバーラタ』の中の「ナラ王物語」に登場する。ニシァダ国のナラ王は絶世の美女とされるヴィダルバ国の王女・ダマヤンティーの婿選びで、求婚する神々をも押し退けて、見事、ダマヤンティーと結婚する。しかし、ダマヤンティーと結婚したかった悪魔カリはナラ王にとり憑いた。ナラ王は賭博狂いとなり、次々と負ける。最終的には弟プシュケラとの賭博に負け、王位を奪われ、国を追放される。そして、妻をも捨てることとなる。流離う中、ナラ王は龍王カルコタカと出会う。カルコタカは王の身体に噛み付き、ナラ王の身体に毒を注ぎ込んだ。毒は王の身体を蝕むことはなく、悪魔カラだけに効いてカラを苦しめた。さらにカルコタカはナラ王を別人に変身させると、ナラ王を賭博が得意なアヨードヤーのリトゥパルナ王に仕えさせ、賭博術を学ばせる。そして、賭博をマスターしたところ、遂にナラ王はカラを追い出すことに成功した。そしてプシュケラと一騎打ちして王位を取り戻すと、再びダマヤンティーを妻にして幸せに暮らした。

本来、「カリ」はヴェーダ時代のサイコロの目のことで、1番悪い「1」の目がカリ、「2」の目がドヴァーパラ、「3」がトレーター、「4」がクリタだった。ここから転じて、4つの時代の名前に使われるようになった。クリタ・ユガの後にトレーター・ユガ、ドヴァーパラ・ユガが来て、現在はカリ・ユガで、徐々にダルマ(法、徳、あるいは正義)が減衰して、現在は最も悪い時代に属する。

カリは最も悪い目であり、不運、不和などをカリを呼ぶ。これを擬人化したのが悪魔カリである。

《参考文献》

Last update: 2020/09/13

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