殭屍(ジアンシー)

分 類中国伝承
名 称 殭屍(僵尸)〔jiāng-shī〕(ジアンシー)《硬直した死体》【中国語】
殭屍(キョンシー)【広東語】
僵尸(キョウシ)【日本語】
容 姿腐らない死体。清の時代の正装で描かれることが多い。
特 徴夜に棺桶から抜け出して人を喰らう。
出 典『西遊記』(16世紀)、袁枚『子不語』(1788年)ほか

墓場から甦る腐らない死体!?

キョンシーといえば日本でも映画『霊幻道士』や『幽幻道士』などで非常に有名である。このキョンシーは広東語の表記で、中国語では殭屍(ジアンシー)と発音される。殭屍は中国伝承に登場するいつまで経っても腐らずに動き回る死体で、昼間は棺桶の中で眠っているが、夜になるとまるで生きているのと同じように動き出す。中国では、大地に埋葬された死体は、長い年月の間に大地の精気を宿して動き出すと信じられていた。

『西遊記』や袁枚の『子不語』など、明や清の時代の文学作品には多数の殭屍が登場する。かつて死んだはずの人間が生前同様の姿で現れ、生きている人間と一緒に付き合うこともあれば、人間を襲って喰らうとも言われている。大変な怪力の持ち主である。長い年月を経ると神通力を得て、やがて空を飛ぶ能力を持った飛殭(フェイジアン)になるとも信じられた。

腐敗しない死体というのは、おそらくは死蝋現象のことで、墓を暴いたときに死体が腐らずに残っていることがあり、そこから殭屍の存在が想像されたと考えられる。また、出稼ぎに出た人が故郷から遠く離れた地で亡くなったとき、その遺体を故郷に運ぶために、「送尸術」などの術で死体を歩かせたという伝承もあり、それらも殭屍の着想に繋がっている。

香港映画の人気者!?

『霊幻道士』(1985年)や『幽幻道士』(1986年)などの香港・台湾映画の影響から、日本では「キョンシー」という広東語での呼称の方でよく知られている。映画では血を吸う設定になっており、噛みついた人間もキョンシーになると説明されているが、これは西洋の吸血鬼から連想してつくられた映画の設定である。また、映画の影響から、清の時代の満洲族の正装を着ているイメージが一般に定着している。死後硬直しているため、関節が滑らかに動かない。そのため、腕を真っ直ぐに伸ばしたまんまピョンピョンと飛び跳ねて移動する。道士が額に符を貼ることで動きを止められる。

《参考文献》

Last update: 2022/02/27

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