布袋(ほてい)

分 類日本神話日本伝承
名 称 布袋(ほてい)【日本語】
布袋和尚 〔bùdàihéshàng〕(ブーダイヘイシャン/ブゥダイホァシャァン)【中国語】
容 姿大きな袋を背負った太鼓腹の仏僧。
特 徴実在の仏僧で、不思議な力を持ち、死後、仙人となった。弥勒菩薩の化身。
出 典

でっぷり太った福の神!?

布袋(ほてい)と言えば、でっぷりとした太鼓腹で、柔和な笑みを浮かべ、大きな袋を背負った神である。日本では福の神として、七福神の1柱に数えられる。実は布袋は10世紀頃に実在した仏僧で、本来の名前は釈契此(しゃくかいし)である。しかし、常に頭陀袋(ずだぶくろ)を背負っていたことから「布袋」と呼ばれるようになった。寺に住まずに、大きな袋を背負って各地を泊まり歩いたという。その際、生臭ものでも施しを受け、袋に入れたという。風変わりな風貌でありながら、人々を満ち足りた気持ちにさせたという。彼には、さまざまな伝説が残されており、雪の中で寝ていても、布袋の身体の上には雪が積もらなかったとか、人の吉凶を言い当てたなどと言われる。死後、埋葬されたにも関わらず、後日、目撃されたとも言われており、尸解仙(死に際して、身体から魂魄が抜け出し、後日、肉体を回収しに来る。こうして仙人の仲間入りを果たすという)のひとつと考えられている。しばしば、水墨画の題材として好んで描かれる。

後代、布袋は弥勒菩薩の化身だという信仰が広がった。これは『景徳傳燈録』(1004年)に「彌勒真彌勒 分身千百億(弥勒は真の弥勒にして分身千百億なり) 時時示時分 時人自不識(時時に時人に示すも時人は自ら識らず)」という偈文を残しているためで、以降、太鼓腹の弥勒菩薩が描かれるようになった。

日本では、室町時代後期に七福神の仲間に加えられるようになった。また、度量の広い、円満な人格として、背負っている袋は「堪忍袋」と見做されるようになった。当初は中国同様、弥勒菩薩として描かれていたが、次第に人間的に描かれるようになった。七福神の1柱に加えられ、袋から財を出して与えてくれるとされる。

なお、沖縄にはミルク神という豊穣神が伝わっている。ニライカナイから豊穣をもたらす神だが、布袋そっくりの真っ白い仮面をつけた神である。これは中国で弥勒菩薩と布袋が習合したものが東南アジア経由で沖縄に伝わり、土着の豊穣神と結びついたものである。

【関連項目】

《参考文献》

Last update: 2022/01/30

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