オンブレ・カイマン

分 類南米伝承(コロンビア)
名 称 Hombre Caimán(オンブレ・カイマン)《カイマン人間》【スペイン語】
容 姿上半身が人間の男性、下半身がカイマン。
特 徴変身の薬でワニに変身して水遊びをする女性の裸を求め、元に戻れなくなった。
出 典

女性の裸を見たいという執念の果てに……!?

オンブレ・カイマンはその名のとおり「カイマン男」で、上半身が人間の男性、下半身がカイマン(ワニの一種)という姿をした怪物である。コロンビアのマグダレナ川はカリブ海に注ぐが、このオンブレ・カイマンはカリブ海とマグダレナ川に棲息する。元々はサウル・モンテネグロという名前の人間だったが、川で水遊びをする女性の裸を見たいと強く願い、ワニに変身する薬(赤い瓶)と人間に戻る薬(白い瓶)を魔女から入手すると、友人に振りかけてもらい、ワニに変身して水中に潜っては女性の裸を堪能し、また元に戻る薬で人間に戻って暮らしていた。しかし、あるとき、別の友人に薬を託したところ、ワニの姿のときに、友人が本物のワニだと驚いて、元に戻る薬の瓶を割ってしまった。飛び散った薬が上半身に掛かったため、上半身だけは元に戻れたが、下半身はカイマンのままになってしまった。以降、彼は「カイマン男」の姿のまま妖怪になって、マグダレナ川上流に去った。その後、しばしば漁師たちに目撃されるようになった。

マグダレナ川の河畔のプラト地方では「カイマン男祭り」が開催される。また、「カイマンが去っていく」というスペイン語のヒットソングも知られており、このオンブレ・カイマンは地元ではとても愛されているようだ。

ちなみに、日本では、混浴温泉で女性の裸を見ようと、温泉に長時間浸かって女性客を待つ男性のことを「ワニ」と呼ぶ。何となくオンブレ・カイマンに似ている。そのうち、「ワニ」と呼ばれる彼らも、下半身がワニになってしまうのかもしれない。

《参考文献》

  • 『南米妖怪図鑑』(文:ホセ・サナルディ,画:セーサル・サナルディ,ロクリン社,2019年)

Last update: 2022/04/23

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