ハリ・サ・ブキッド

分 類フィリピン伝承
名 称 Hari sa bukid(ハリ・サ・ブキッド)《山の王》【ヒリガイノン語】
容 姿タバコを喫うひげの老人。
特 徴山の神的な存在。火山を引き起こした。
出 典

山の神、激怒して山を噴火させ、タバコを喫い続ける!?

ハリ・サ・ブキッドはフィリピンに伝わる山の精霊。ネグロス島にはビサヤ諸島最高峰のカンラオン山(標高2,465メートル)があり、活火山である。この山はハリ・サ・ブキッドという山の神がいて、人々を治めていた。彼が大地を3回叩くと、大地から次々と小人が出てきて、彼の仕事を手伝った。村人たちは山麓でタバコを栽培するようになり、ハリ・サ・ブキッドは小人たちを使役してそれを手伝った。お陰で村は豊かになった。

山の半分ほどがタバコ畑になったときに、ハリ・サ・ブキッドがここから先は自分と小人たちの領域なので、これ以上、先にはタバコを植えないように言いつけた。そして、あるとき、ハリ・サ・ブキッドは旅に出掛けてしまった。そして、長い間、戻ってこなかった。

村人たちはハリ・サ・ブキッドの言いつけを守って、山の中腹より上にタバコを植えることはなかったが、やがて、タバコの需要が増加し、海外にも輸出でき、大きな利益を得られるようになったとき、一人、また一人と、領域を越えてタバコを植えるようになった。初めの頃は罪悪感があった村人だったが、それでもハリ・サ・ブキッドが戻ってこないため、やがて、山はタバコ畑で埋め尽くされてしまった。

そんなときに、ハリ・サ・ブキッドが戻ってきた。そして、激怒した。結果、カンラオン山は噴火し、山麓はマグマと火山灰に覆われた。ハリ・サ・ブキッドは、今でも、カンラオン山の村人たちが育てたタバコを喫っては山頂から煙を吐き出していて、このタバコを全部、喫い終わるまでは、カンラオン山麓はずっと不毛の大地のままなのだという。

《参考文献》

Last update: 2022/05/15

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