ジャイアント

分 類イギリス伝承
名 称 Giant(ジャイアント)《巨人》【英語】
容 姿人間と同じような姿の巨人。
特 徴怪力で野蛮。人喰い。英雄に退治される。
出 典『ジャックと巨人退治』(18世紀初頭)など

巨人、英雄に退治される!?

ジャイアントはイギリス伝承における巨人。ジャイアント(giant)という言葉が初めて登場するのは『ロバート・オブ・グロスターの年代記』(1297年頃)だと言われていて、語源はギリシア・ローマ神話のギガンテース(Γίγαντες)に遡れる。古代の巨人は頭や腕が複数あったり、一つ目であったりと異形の存在が多いが、イギリス伝承のジャイアントは基本的には人間と同じような姿で、ただ背丈だけが巨大で、怪力の持ち主だという特徴がある。また、人間が文明化されているのと比較して、野蛮で荒々しく暴力的、あるいは愚鈍な存在として語られることが多い。

13世紀頃の中世ロマンスでは、ジャイアントは洞窟や城に棲み、旅人や家畜を捕らえて喰らう怪物として登場する。アーサー王伝承では、アーサー王はモン・サン=ミシェルに棲みつく巨人を退治している。ここで登場する巨人は、脂肪に覆われた醜い姿で、公女を攫って串刺しにして焼いて喰っていた。また、チャップ・ブック(安価な民衆本)『ジャックと巨人退治』(18世紀初頭)では、ジャックは人喰い巨人を落とし穴に落としたり、ロープで吊り下げたり、知恵を使って巨人を倒す。童話「ジャックと豆の木」でも、巨人は雲の上に棲む脅威として描かれる。これらのジャイアントは常に退治されるべき存在である。

巨人はブリテン島の先住民!?

また、ブリテン島は人間が支配する以前は巨人族が支配していたという伝承があり、ストーンヘンジなどの巨石遺構は巨人が運んだと説明されることもある。ジェフリー・オブ・モンマスの『ブリタニア列王史』(1136年)に登場するゴグマゴグは、ブリテン島の先住民とされた巨人たちの首領で、ブリテン建国者ブルートゥスの仲間のコリネウスによって退治された。

イギリス各地の巨人たち!?

イギリス各地には地域固有の巨人伝承も多い。コーンウォール地方には、セント・マイケルズ・マウントに棲む巨人コルマランの伝承があり、これは後に『ジャックと巨人退治』にも取り込まれた。ウェールズの『マビノギオン』には巨人イースバッダデンが登場し、スコットランドとアイルランドにまたがるジャイアンツ・コーズウェイには、巨人ベナンドナーとフィン・マックールの戦いが語られている。このように、イギリス各地にたくさんの巨人伝承が残されている。

ジョナサン・スウィフトの『ガリヴァー旅行記』(1726年)における巨人族ブロブディンナグの登場以降、巨人が知性的な存在として描かれる例も増え、現代のファンタジー作品では、人間とジャイアントが交わることによって誕生するハーフ・ジャイアントのような設定も一般化した。

《参考文献》

Last update: 2026/05/06

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