クミョロ
分 類 | 朝鮮伝承 |
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금혈어〔geumhyeol-eo〕(クミョロ)《金血魚》【朝鮮語】 | |
容 姿 | 5~7センチメートルほどの魚。鱗と鰭が刃物状になっている。 |
特 徴 | クジラの天敵で、群れになってクジラを襲う。 |
出 典 | 『靑城雜記』(18世紀頃)ほか |
クジラの天敵!?
クミョロは『靑城雜記』(18世紀頃)に登場する怪魚。たった5~7センチメートル程度の小さな魚ではあるが、その鱗と鰭は刃物のように鋭利に尖っている。クジラの天敵とされていて、数百匹、数千匹の規模で群れをなしてクジラを襲う。
うっかりクジラがクミョロを口の中に入れてしまおうものなら、クミョロはあっという間に内臓を切り刻んで内側からクジラを殺してしまう。たとえ口に入れなかったとしても、クミョロは右に左に陣形を組み、クジラを追い込んでいく。クジラはパニックに陥って何度も空中に跳躍して逃れようとするが、やがて力尽きる。そうなるとクミョロの群れが一斉にクジラを襲い、骨だけになるまでクジラを喰らい尽くすという。まるでウシを襲うピラニアの群れを彷彿とさせる恐ろしい魚である。
ちなみに、韓国には、クミョロの他にもチャンスピ(장수피、長酥被)という似たような魚も知られているようだ。『松泉筆譚』(18世紀)などによれば、チャンスピもクミョロ同様に小さな魚だとされているが、背鰭がノコギリ状になっていて、捕食者を傷つけるという。チャンスピがクジラを襲っているところに居合わせた漁師が「クジラの肉を寄越せ」などと言ったら、船の甲板に肉を投げ込んでくれたなどと伝わっている。
《参考文献》
Last update: 2025/03/11