コジャム

分 類朝鮮伝承
名 称 거잠geojam〕(コジャム)《巨蠶》【朝鮮語】
容 姿ウシほどの大きさのカイコの幼虫。
特 徴死ぬと各地からカイコを招き寄せる。
出 典『太平廣記』(978年)、『東史綱目』(1778年)ほか

キング・オブ・カイコ!?

コジャムは朝鮮伝承に登場する巨大なカイコの妖怪である。その大きさはウシやウマほどで、たくさんの桑の葉を食べる。コジャムが死ぬと、その死を悼み、その血統を継ごうと四方八方からカイコが群がって飛んでくる。そのため、もしもこの巨大なカイコを見つけたら、自分の桑畑まで運んでから殺せば、たくさんの繭を得られるという。

実際、中国の宋の時代に編纂された『太平廣記』(978年)の「蠻夷二・新羅」や、『東史綱目』(1778年)には、新羅でパンギ(旁㐌)という人物がコジャムと遭遇した話が載っている。

これらの文献によれば、パンギには弟がいたが、裕福な家を継いだのは弟で、パンギ自身は物乞いをして暮らしていたという。あるとき、村人から小さな土地を与えられたパンギは、弟にカイコと穀物の種を分けてくれるように頼んだ。いじわるな弟はそれを蒸して渡したが、パンギはそれを知らずに土地に蒔いて育てた。カイコの生まれる時期になると、1匹のカイコが生まれた。不思議なことに、10日ほどでウシほどの大きさになった。餌の桑が不足したが、これを知った弟は巨大なカイコを殺してしまった。すると、日が経つにつれて、あっちこっちから無数のカイコが飛んでくるようになって、大量の繭を手に入れることができたという。村の人々は協力して絹糸を紡いだという。

《参考文献》

Last update: 2025/06/14

サイト内検索