コチニョ
分 類 | 朝鮮伝承 |
---|---|
거치녀 〔geochinyeo〕(コチニョ)《鋸齒女》【朝鮮語】 갑산괴 〔gabsangoe〕(カプサングェ)《甲山怪》【朝鮮語】 | |
容 姿 | 乱れ髪、見開いた目でノコギリのような歯を持つ鬼女。 |
特 徴 | 国が乱れると日蝕とともに出没する。 |
出 典 | 李肯翊(イ・クンギ)『燃藜室記述』(18世紀)ほか |
国が乱れてコチニョ現る!?
コチニョは朝鮮半島に伝わる妖怪。ノコギリのような歯を持つことから、「鋸齒女(コチニョ)」と呼ばれる。北朝鮮の両江道甲山郡に出没したことから、「甲山怪(カプサングェ)」とも呼ばれる。
1583年、学者の許篈(ホ・ボン)が反対派に陥れられて甲山に流刑になった。その年、日蝕が起こり、それとともに甲山にこの妖怪が出没した。乱れ髪で目を見開き、ノコギリのような大きな歯を持ち、左手には弓、右手には火を携えた鬼女で、地元の兵士たちは太鼓を打ち鳴らし、矢を射てこの鬼が退散することを祈った。流刑地にいたホ・ボンは鬼を追い払う歌を読んだ。これを聞いた朴枝華(パク・ジファ)は「これは10年以内にこの国が乱れる前兆だ。邪悪な気は南から来る」と予言した。実際、1592年、壬辰倭乱が起こった。なお、壬辰倭乱*は起こった。
* 壬辰倭乱は朝鮮の呼称。日本では「文禄の役」。豊臣秀吉の朝鮮遠征を指す。
《参考文献》
- 『한곡 요괴 도감』(著:고성배,2019年)(韓国語)
Last update: 2025/07/05