船幽霊(フナユウレイ)

分 類日本伝承
名 称 船幽霊(フナユウレイ)【日本語】
容 姿幽霊。
特 徴海で死んだ幽霊。船に水を汲み入れて沈める。
出 典桃山人『絵本百物語』(1841年)ほか

船を沈める幽霊たち!?

船幽霊(フナユウレイ)は日本各地に伝わる海上の幽霊。水難事故で死んだ人間の幽霊とされ、柄杓で水を汲み入れて船を沈没させ、仲間に引き入れようとしている。

船に乗った亡霊が水上に出現することもあれば、船そのものが亡霊として出現することもある。船の上に亡霊だけが出現する場合もある。海坊主も船幽霊の一種とされることもあり、水上に怪火として出現することもある。

霧の中で目の前に絶壁や船が現れて、避けようとすると転覆したり暗礁に乗り上げたりするので、思い切って真っ直ぐに突き進むと消えるなどの伝承もある。コンパスを狂わせるものや、船に乗り移ってきて乗組員の首を絞めるものもいる。

握り飯や団子、餅などを海に投げ入れたり、底の抜けた柄杓を用意して防ぐなどの方法が伝えられている。地域によって呼び名はいろいろで、亡者船アヤカシなどとも呼ばれる。「わしは土左衛門だ」と言って仲間であると言い張って追い払う地方もある。

江戸時代の『絵本百物語』では、船幽霊を平家一門の死霊としている。平家は壇ノ浦の戦いで滅びたが、関門海峡の壇ノ浦などでは甲冑姿の船幽霊が出現し、船に取りつくと言う。柄杓を貸すと船に水を汲み入れられるので、柄杓の底を抜いたものを準備して海に繰り出すという。

《参考文献》

Last update: 2021/02/06

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