ファイア・ドレイク

分 類ヨーロッパ伝承
名 称 Fire Drake(ファイア・ドレイク)【英語】
容 姿翼を生やした竜。全身、炎に包まれている。
特 徴炎に包まれて空を飛ぶ。
出 典

闇夜を明るく染める炎の竜

ファイア・ドレイクはチュートン人(かつてデンマークを中心に活躍していた民族)の伝承に登場する竜。全身を炎に覆われ、空を飛ぶ。この竜が空を飛ぶと、夜でも昼間のように明るくなったという。また、暗い空に奇妙な光が走るようなことがあると、この竜が空を飛んでいるのだと説明された。洞窟や墓場などに眠っている財宝を守護していると考えられた。

ドラゴンといえば毒の息を吐き出すことが多いが、この竜は口から炎を吐き出す。そのため、炎の精霊、あるいは死者の魂だと解釈されることもあるようだ。熱い雲と冷たい雲が交わったときに生まれるとも言われる。イギリスには、各地にウィル・オ・ザ・ウィスプイグニス・ファトゥウスのような鬼火伝承が残されているが、ファイア・ドレイクも、同様の自然現象からうまれた怪物かもしれない。

現在のドラゴンの原型になった『ベーオウルフ』の火龍

8~9世紀頃に成立したイギリスの叙事詩『ベーオウルフ』にもファイア・ドレイクは登場している。そこでは炎を吐き出す翼を持った竜として描かれている。『ベーオウルフ』に登場する竜は、現在のドラゴンのイメージに非常に近い。トルキーンの『ホビットの冒険』に登場するスマウグも、このファイア・ドレイクのイメージを踏襲していることが指摘されている。

《参考文献》

Last update: 2021/05/29

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