ウィル・オ・ザ・ウィスプ
| 分 類 | イギリス伝承(イングランド伝承) |
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Will-o'-the-Wisp(ウィル・オ・ザ・ウィスプ)《藁束を持ったウィル》【英語】 Ignis Fatuus(イグニス・ファトゥウス)《愚者の火》【ラテン語】 | |
| 容 姿 | 青白い炎。 |
| 特 徴 | 夜道で人を迷わし、沼地や断崖絶壁などに誘い込む。 |
| 出 典 | - |
森の中で人を迷わす青白い炎!?
ウィル・オ・ザ・ウィスプはイギリス各地に伝わる鬼火伝承のひとつ。特にイングランドではこの名称で呼ばれることが多い。青白い炎(淡い黄色や緑とも)で、夜の森の中などで道に迷った旅人がふわふわ揺れる炎を人間の灯りと勘違いして後をついていくと、延々と森の中を道に迷わされたり、沼地にはまり込んだりする。近づこうとすると遠ざかり、立ち止まると手招きするように揺れることもある。突然消えたり、別の場所に出現したりすることもある。幽霊などが現れる前に前触れとして出現することもある。ラテン語では「イグニス・ファトゥウス」とも呼ばれる。
ウィル・オ・ザ・ウィスプの誕生譚
生前に悪事を働いたウィリアムという男が、死後、天国からも地獄からも拒絶されて、悪魔から与えられた地獄の石炭を灯りに、永遠にこの世を彷徨い続けているという説話がある。
鍛冶屋のウィリアムは非常に強欲で、生前、客を騙して不当な利益を得たり、暴力を振るったりしていた。あるとき、ウィリアムの下に天国の門番である聖ペテロが旅人に姿を変えて現れた。ウィリアムは珍しく彼をもてなしたため、聖ペテロは報酬として3つの願いを叶える約束をした。ウィリアムは魂の救済を願うのではなく、自分の金槌に触れた者は許可するまで手から離れなくなるとか、自分の椅子に座った者は許可するまで立ち上がれなくなるなどの不思議な力を得た。
ウィリアムが寿命を迎えたとき、悪魔が彼の魂を奪いに来たが、ウィリアムは悪魔を金槌や椅子に縛り付けて酷い目に合わせ、ウィリアムの魂を地獄に連れて行かないという約束をとりつけた。その後、ウィリアムが天国の門に行くと、聖ペテロから天国に入れることを拒まれる。仕方なく地獄へ向かうと、悪魔たちは地獄に入れることもできないと拒絶した。こうして、彼は天国にも地獄にも居場所がなくなってしまった。悪魔は彼を憐れみ、地獄の業火で燃え盛る石炭(あるいは燃え差し)を与えた。以降、ウィリアムは石炭を灯りに永遠に現世を彷徨い続けることになってしまったのである。
なお、この物語はアイルランドのジャック・オ・ランタン伝承が原型になっている。
鬼火の正体はメタンガスやリン化合物の発火現象!?
ウィル・オ・ザ・ウィスプは、洗礼を受けずに亡くなった子供の魂が、誰かに洗礼を授けてもらおうと旅人を水辺へ誘うとも言われている。
しかし、ウィル・オ・ザ・ウィスプは沼地や湿地などに出没することが多いため、現在では、有機物が腐敗して発生したメタンガスや、自然発火しやすいリン化合物などが引火して発火する現象だと説明されることも多い。
あるいは、球電説が引き合いに出されることもある。球電というのは稲妻の一種で、稲妻の先から時折、電気の塊が飛び出す。これが球電で、ふわふわと空中を漂って、発火物に触れると突然、大爆発を引き起こす。西洋では火の玉に屋根を吹っ飛ばされたとか、人間が焼き殺されたという怖ろしい事例があるので、目撃された鬼火の中には球電もあったのかもしれない。
ウィル・オ・ザ・ウィスプ、電撃で攻撃!?
伝承ではふらふらと飛び回り、沼地へ誘い込むだけのウィル・オ・ザ・ウィスプだが、近年のファンタジー作品では、下手に攻撃すると電撃で反撃してきて、大火傷することもある。これは『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の設定が広く定着したものである。
また、近年、光の精霊という扱いで登場して、パーティたちの手助けをするパターンもあるようだ。
《参考文献》
- 『図説 幻獣辞典』(著:幻獣ドットコム,イラスト:Tomoe,幻冬舎コミックス,2008年)
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
- 『ファンタジー・ファイル モンスター・コレクション RPGの世界』(安田均/グループSNE,富士見文庫,1986年)
Last update: 2026/05/10
