蚩尤(チーヨウ、しゆう)

分 類中国伝承
名 称 蚩尤〔chīyóu〕(チーヨウ)【中国語】
蚩尤(シユウ)【日本語】
容 姿ウシの頭、鳥の足、4つ目、6本腕の怪物。
特 徴金属の武器を発明し、黄帝に反乱を企てた。
出 典『山海経』ほか

金属製の武器は蚩尤が発明した!?

蚩尤(チーヨウ、しゆう)は中国神話に登場する怪物。人間のような身体だが、頭はウシで、鳥のような足を持ち、目は4つ、腕は6本で、頭は銅、額は鉄でできている。頭には角がはえている。石や鉄を喰らい、その性格は邪悪で、貪欲だった。黄帝から王座を奪おうと画策し、兄弟やその他の魑魅魍魎とともに反乱を起こした。蚩尤は風伯や雨師などの力も借り、風や雨、煙、霧などを巻き起こして苦しめた。黄帝は応竜や魃を味方に蚩尤を打ち破ったとされる。黄帝は蚩尤が逃げ出すことを恐れ、手枷と足枷を外さず、蚩尤が息絶えたのを確認してから、ようやく枷が外されたという。枷は蚩尤からしたたり落ちた鮮血で染まり、その後、楓(フウ)と呼ばれる植物になったとされる。楓の葉は秋になると真っ赤に染まり、これは蚩尤の恨みが宿っているためだとされる。

邪悪な怪物とされた蚩尤だが、一方で、蚩尤を神として扱っている文献も多数、残されている。蚩尤は矛、弓、刀、斧、盾など、さまざまな金属製の武器を発明しており、また、そもそも金属の利用を開始したのも蚩尤だとされる。黄帝の家臣として描かれている文献もある。

ちなみに、蚩尤が黄帝と戦った際に、九黎族が味方をしたとされる。そのため、蚩尤は九黎族の長だったとも考えられている。その後、戦いに敗れた九黎族の子孫は南方に逃れ、三苗国を建てたとされる。少数民族のミャオ族を、この三苗国と関連づけ、1990年代頃から、ミャオ族の祖先を蚩尤とする説が浮上した。そのため、近年、ミャオ族では、漢民族に戦って敗れた英雄として蚩尤を祀り上げている。

《参考文献》

Last update: 2022/04/22

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