ブロラハン
分 類 | イギリス伝承(スコットランド伝承) |
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Brollachan(ブロラハン)【スコットランド・ゲール語】 | |
容 姿 | 目と口以外ははっきりしない子供の妖精。 |
特 徴 | 「ぼく自身」と「お前自身」しか喋れない。 |
出 典 | - |
「ぼく自身」と「お前自身」!?
ブロラハンはスコットランドの西ハイランドに伝わる妖精の一種である。顔には目と口しかなく、それ以外ははっきりしない。幼い妖精で、「ぼく自身」と「おまえ自身」の2語しか話せなかった。あるとき、足の不自由な男性が水車小屋に寝泊りしていた。寒い夜だったので暖炉に火を起こして横になっていると、水車の流れに棲むブロラハンが水車小屋に入ってきた。暖炉の火が燃え尽きそうになったので、男がピートをくべると、燃えさしが跳ねてブロラハンが火傷し、ものすごい悲鳴をあげた。男は慌てて粉挽き機の間に隠れた。ちょうどそのとき、母親妖精のフーアが出現し、「ああ、ブロラハン! 一体、誰の仕業か?」と訊ねた。しかし、ブロラハンは「ぼく自身」と「おまえ自身」としか言わないので、母親妖精は「ほかの者がやったのなら仕返しをしてやるのに!」と言って、ブロラハンを連れて水車小屋を出て行った。こうして、男は難を逃れることができたという。
不幸なことに、その晩、外出していた女がいて、フーアはこの女を追いかけまわした。女は全力で走って家に飛び込んだが、かかとだけはフーアに掴まれてしまったため、一生、歩くのに不自由したという。
《参考文献》
- 『妖精事典』(編著:キャサリン・ブリッグズ,訳:平野敬一/井村君江/三宅忠明/吉田新一,冨山房,1992年〔1976年〕)
Last update: 2024/06/27