ボーディサットヴァ

分 類仏教
名 称 बोधिसत्त्व 〔bodhisattva〕(ボーディサットヴァ)【サンスクリット】
菩薩(ぼさつ)【日本語】
容 姿古代インドの王族の姿。
特 徴悟りを開くために修行中。

菩薩は大乗仏教界のNo.2グループ!?

菩薩(ボサツ)、あるいはサンスクリット(梵語)でボーディサットヴァ(बोधिसत्त्व)は悟りの境地を求めて修行中の「ホトケ様」たちのこと。大乗仏教界のNo.2グループである。

お寺に行けば、たくさんの「ホトケ様」が祀られている。お釈迦さまとか、阿弥陀さま、観音さまなんて有名だ。ちょっとお寺に行ったことのある人なら、お薬師さまとかお不動さまなんて名前も聞いたことがあるだろう。大きなお寺の入り口では2体の金剛力士像が出迎えてくれるし、そこいら辺の道端にはお地蔵さまが祀られている。弁天さまとか大黒さまなんかもよく知られている名前かもしれない。大乗仏教の世界には、実にたくさんの「ホトケ様」が存在する。特に密教の世界にはたくさんの「ホトケ様」が登場する。

でも、本来、「仏(ホトケ)」というのは「仏陀(ブッダ)」のこと。《悟りを開いたもの》という意味のサンスクリットबुद्ध〔Buddha〕(ブッダ)に由来する。だから悟りを開いた存在のことだけを「仏」というのが正しい。原始仏教では、悟りを開いたとされているのはお釈迦さま、すなわち仏教の開祖であるガウタマ・シッダールタだけだ。だから、お釈迦さまだけが「ホトケ様」なのである。

けれども、仏教がさまざまに発展していく過程で、「ホトケ様」は増えていく。釈迦以外にも悟りを開いた存在が登場するようになるし、悟りを開くために修行中で、悟りの一歩手前の菩薩(ボサツ)(彼らはまだ悟りの境地に到達できていないのだ!)や、優しさだけでは足りない人々を恐ろしい形相で懲らしめ、悟りへと導く明王(ミョウオウ)、バラモン教やヒンドゥー教などの外来の神さまたちまでも取り込んで「ホトケ様」として崇拝するようになっていく。

上座部仏教では、今でもお釈迦さまだけが信仰の対象とされているが、大乗仏教ではさまざまな「ホトケ様」が信仰されている。

さて、そんな大乗仏教世界に無数に存在する「ホトケ様」だが、大乗仏教にはこれらの「ホトケ様」を4つのグループに分けた明確な階層(ヒエラルキー)がある。最高位の如来(ニョライ)に次ぐ第2のグループに位置づけられているのが菩薩(ボサツ)だ(表1)。

表1:大乗仏教の階層(ヒエラルキー)
如来/タターガタ悟りを開いたもの。悟りの境地から人々を救う。
菩薩/ボーディサットヴァ悟りを求めるもの。悟りを開くために目下、修行中。修行しながら人々を救う。
明王/ヴィドヤーラージャ如来の使者。忿怒の形相で人々を戒め、悟りへと導く。
天/デーヴァ天上界に住むもの。仏法を守護し、現世利益をもたらす。

さきほど挙げたいろいろな「ホトケ様」の中で、菩薩グループに入っているのはメンバーは2人。観音さまとお地蔵さまだ。それぞれ観音菩薩、地蔵菩薩という。

菩薩/ボーディサットヴァは悟りを求めるものを意味する。本来は仏教の開祖であるガウタマ・シッダールタの出家前を指して菩薩と呼んでいたが、やがて悟りを開くために修行しているもののことも菩薩と呼ぶようになった。菩薩は出家前の釈迦、シャーキャ族の王子の姿をモデルにしているため、出家者のような質素な姿の如来とは異なり、金、銀、宝石などの装身具を身につけ、冠を被るなど、非常に華やかで派手な姿をしている。

なお、密教には「三輪身(さんりんじん)」という考え方がある。一人のホトケ様が三様の顕れ方をするというのだ。真理そのものとして「如来」になることもあれば(自性輪身)、真理を人々に教え、人々を救う「菩薩」になることもあれば(正法輪身)、菩薩でも教化できない人々や悪を戒め、懲らしめて真理へと導く「明王」になることもあるというわけ(教令輪身)。この解釈も従えば、菩薩も如来が姿を変えたものなのとなるので、立派な「ホトケ様」である。

《参考文献》

Last update: 2011/10/21

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