アップルツリー・マン
分 類 | イギリス伝承(イングランド) |
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Apple-tree Man(アップルツリー・マン)【英語】 | |
容 姿 | 特に言及はないが、老人の姿で描かれることが多い。 |
特 徴 | リンゴ園を守護する。豊作を約束してくれる。 |
出 典 | - |
果樹園の一番古い樹に宿る守護霊!?
アップルツリー・マンはイングランドのサマセット州に伝わるリンゴの樹の精。リンゴ園に生えているリンゴの樹の中で一番古い老木には精霊が宿ると信じられていて、その精霊はしばしば「リンゴ園の主」と呼ばれた。
イングランドでは古くから果樹園の豊作を祈念して、ユール祭(冬至)になると、農園主は使用人たちを集めて、上等のリンゴ酒と焼きリンゴを果樹園へと運び込んだ。そして、リンゴ酒を片手に、リンゴ園の主のために乾杯をする。祭りの終わりには少しだけリンゴ酒を残しておいて、それをリンゴ園の主の宿る木の根元に注ぐ。こうして果樹園が豊作になることを祈ったのである。
ある伝承では、古くて朽ちた果樹園をせっせと世話して、再び豊かさを取り戻した働き者が、クリスマスの日に、よく温めたリンゴ酒をジョッキ1杯、老木の根元にかけてやると、リンゴの樹が彼に話し出し、その果樹園に隠されていた財宝(たくさん黄金の詰まった箱)の在り処を教えてくれたという。
イングランドのその他のリンゴの樹の守護霊たち
イングランドにはアップルツリー・マン以外にもたくさんのリンゴの樹の守護霊が伝わっている。オールド・ロジャーというのは、赤ら顔の老人の姿だという。サマセットに伝わるコルト・ピクシーもリンゴ園の守護霊で、果樹園に盗みに入った人間を脅かすと信じられている。レイジー・ローレンスもサマセットやハンプシャー州の果樹園の精で、果樹園から泥棒を追い出すために子馬の格好で出現すると、侵入者に痙攣や吐き気を与えたり、方向感覚を狂わせたりするなどしたらしい。
《参考文献》
- 『Truth In Fantasy 事典シリーズ 2 幻想動物事典』(著:草野巧,画:シブヤユウジ,新紀元社,1997年)
- 『妖精 Who's Who』(著:キャサリン・ブリッグズ,訳:井村君江,ちくま文庫,1996年〔1979年〕)
- 『妖精事典』(編著:キャサリン・ブリッグズ,訳:平野敬一/井村君江/三宅忠明/吉田新一,冨山房,1992年〔1976年〕)
Last update: 2024/04/13