アンドラス

分 類魔法書文献
名 称 Andras(アンドラス)【ラテン語】
容 姿夜鳴き鳥の頭部を持った天使。オオカミに乗り、剣を持つ。
特 徴不和を撒き散らす。術者を殺そうとする。
出 典『レメゲトン』「ゴエティア」(17世紀頃)ほか

不和を撒き散らす残忍な悪霊!?

アンドラスは17世紀頃に成立したと考えられる魔法書『ゴエティア』に登場するソロモン王が使役した72匹の悪霊の1匹。召喚すると、カラスやフクロウ、ゴイサギなどの夜鳴き鳥の頭部を持った天使の姿で出現する。オオカミに乗り、手には高々と剣を掲げている。アンドラスは不和を撒き散らす悪霊で、うっかりしていると、召喚者とその従者も殺されてしまうので、細心の注意が必要である。地獄では侯爵の地位にあり、30個の悪霊の軍団を率いている。

『レメゲトン』「ゴエティア」に描かれるアンドラス

17世紀頃には成立していたと考えられている中世の魔法書『レメゲトン』の第1部「ゴエティア」にアンドラスの記述がある。「ゴエティア」はソロモン王が使役したという72匹の悪霊について、その召喚の手順を具体的に記したもので、必要な呪文や魔法陣、72匹の悪霊たちのそれぞれの能力や紋章(シジル)、召喚に際しての注意事項などが書かれている。「ゴエティア」でアンドラスは63番目に紹介されている。

ANDRAS.--The Sixty-third Spirit is Andras. He is a Great Marquis, appearing in the Form of an Angel with a Head like a Black Night Raven, riding upon a strong Black Wolf, and having a Sharp and Bright Sword flourished aloft in his hand. His Office is to sow Discords. If the Exorcist have not a care, he will slay both him and his fellows. He governeth 30 Legions of Spirits, and this is his Seal, etc.

アンドラスの紋章

アンドラス:63番目の悪霊はアンドラスである。彼は偉大なる侯爵で、真っ黒い夜鳴き鳥のような頭を持った天使の姿で、黒い逞しいオオカミにまたがり、鋭く輝く剣を手に高く掲げて出現する。彼の職能は不和を撒き散らすことである。術者が注意していないと、彼は術者とその従者の両方を殺す。彼は30個の悪霊の軍団を率いている。これが彼の紋章である。

(メイザース&クロウリィ『ゴエティア』より)

コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』に描かれるアンドラス

フランスの文筆家コラン・ド・プランシーが1818年にまとめた『地獄の辞典』は改訂を重ね、1863年の第6版ではブレトンの悪魔の挿絵が加わった。その中でも「アンドラス」として紹介されている。

ブルトンの描くアンドラス

(コラン・ド・プランシー『地獄の辞典』より)

《参考文献》

Last update: 2020/04/12

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