アバタッハ

分 類イギリス伝承(アイルランド伝承)
名 称 abhartach(アバタッハ)【アイルランド語】
容 姿醜い小人。
特 徴魔術師。何度も墓から蘇る。
出 典パトリック・ウェストン・ジョイス『アイルランド地名の起源と歴史』(1869年)ほか

何度でも蘇る「死なぬ者」!?

アバタッハはアイルランド伝承に登場する吸血鬼の一種。歴史家のパトリック・ウェストン・ジョイスの『アイルランド地名の起源と歴史』(1869年)に初めて収録された。

アバタッハは北アイルランドのデリー州グレンアルリンに伝わる邪悪な小人で、強力な魔術師でもあった。彼は魔力で領民たちを恐怖で支配していた。暴政に耐えかねた領民たちは近隣の族長のカハーン(Cathán)に助けを求めた。カハーンはアバタッハを殺害して埋葬した。しかし、翌日、アバタッハは墓から這い出して、以前にも増して残酷になって戻ってきた。カハーンは再び彼を殺して、より深くに埋めたが、やっぱり翌日には復活した。

困ったカハーンは賢者(ドルイド僧、あるいは聖人)に相談した。賢人曰く、アバタッハは「ニャヴ・ヴァルヴ(neamh-mhairbh)《死なぬ者》」であり、通常の剣では殺せないという。カハーンは賢者に教えられたとおりに、イチイの木の枝で作った剣で突き刺し、頭を下に逆さまに埋葬し、墓の上に茨の枝を敷き詰め、巨大な石を置いてアバタッハを封印した。こうして、アバタッハは墓から這い出てくることができなくなったという。

北アイルランドには、現在でも「アバタッハの墓(Leacht Abhartach)」と呼ばれる場所が知られている。大きな石があり、その下にはアバタッハが逆さまに眠っていると信じられ、石を動かしたり、近くの木を切り倒したりすると災いが降り掛かるという言い伝えが残っている。

ブラム・ストーカーはダブリン出身のアイルランド人で、怪奇小説『ドラキュラ』(1897年)には、このアバタッハの影響があるという説もある。

《参考文献》

Last update: 2026/04/11

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