《日々の雑記》

2023年12月31日 フィリピンの妖怪を可視化する【1】マナナンンガル

先般から予告していたとおり、フィリピンの妖怪をイラストに描き起こすプロジェクトを開始してみる。フィリピンの妖怪は日本ではまだまだ知名度はそれほど高くない。こういうマイナな妖怪をイラストにしてイメージを喚起することで、日本でフィリピンの妖怪の認知度を上げていこうという試みだ。これがうまく行けば、他の国の妖怪にも水平展開していきたい。

本日はその第1弾として、マナナンガルのイラストを投稿してみよう。

フィリピンの妖怪と言えば、やっぱり最も有名なのはマナナンガルだ。夜になると上半身と下半身を切り離して空を飛び、獲物を探して飛び回る。そして胎児を啜る。

結構、フィリピンの妖怪は胎児や妊婦を狙うことが多い。実はインドネシアにも多い。日本だと、産女(ウブメ)なんかのイメージが近いかもしれない。今でも妊娠・出産で亡くなることはあるけれど、昔はもっとずっと多かっただろう。こういう痛ましい死や、ある種の妊娠・出産に伴う死への恐れから、こういう妖怪が生まれるのかもしれない。

  

2023年12月30日 青天の霹靂!?

息子のツクル氏、父仕込みのトランプマジックを見事に実演する。それなのに今朝「パパ、ボクは普通のトランプゲームをやったことがないんだよ」と呟かれる。ガーン!!

  

2023年12月29日 復活!?

久しぶりの投稿! 隔日更新と称して2日おきに投稿してきて、12月に入って3週間とちょっと、更新が途絶えた。手が腱鞘炎になってパソコンが全然打てない問題もあったし、年の瀬で仕事が押していたのもあった。それから、立て続けに体力仕事が続いて、グロッキーになっていたのと、息子のためのクリスマスパーティの準備でおおわらわだったのもあった。いろんなことがあって、サボってしまった(>人<;)

それでも、新年に向けて、毎年の雑誌の準備は順調にできていて、12月の頭には入稿できて、準備万端、印刷待ちの状態だった。新年に合わせてお届けできる見通しだ。フィリピンの妖怪特集を組んだので、乞うご期待。フィリピンの妖怪の絵も6体ほど描いたので、年が明けたら順次、リリースできる予定だ。

今日は息子のツクル氏とスキーを満喫した。腱鞘炎の手でストックを握るので、結構ダメージを負っているが、まあ、あまりストックに頼らない滑りを満喫したぜ!

  

2023年12月5日 初音ミクとVOCALOIDについて語る(その2)

前回、初音ミクについて語ったわけだけど、当時、VOCALOIDにはいろんな可能性があった。たとえば、人間の女性が歌ってくれないようなド下ネタを歌わせるとか、過激な言葉(「殺す」とか「死ね」みたいな)を歌わせるみたいな方向性もあった。アーティストが歌ったら売れないネタ満載の歌をミクに歌わせるという芸風も流行った。それから、初音ミクがプログラムであるという設定を活かして、歌っているうちにミクが心を持つとか、逆に何を歌っても所詮、ミクは機械であるとか、人間のコピーだとか、プログラムエラーで暴走するとか、飽きられて捨てられるとか、そういう初音ミクそのものを題材にした歌も流行った。技術的に人間が歌えないような曲として、超高速で歌うとか、難解な転調を繰り返すとか、超ハイトーンとか、一気に音階を駆け上がるみたいな、人間業ではない歌わせ方をするアプローチもあった。初音ミクから派生キャラクターとして、弱音ハクとか亞北ネルなどが生まれ、彼らを軸にした物語とか世界観が出来上がって、彼らのキャラクターソングっぽい歌も流行った。いずれの可能性も、全て「初音ミク」あるいはVOCALOIDだからこそのアプローチだった。

初音ミクのヒットにとって幸いだったのは、当時、FLASHアニメが黄金期だったこともあると思う。2000年代前半、2ちゃんねらーを中心に、アスキーアートの「モナー」や「ギコ猫」をベースに、FLASHの技術でたくさんのネタ動画が投稿されていて、「もすかう」が爆発的にヒットしていたのがちょうど2005年だった。「もすかう」はドイツのジンギスカンというグループが歌った「モスクワ」の空耳をネタにした動画だった。こういう風に、当時のネット文化の中には、ネタを織り交ぜながら、既存の楽曲に笑える動画を当てる文化が流行っていた。そういうアニメーションを作れる職人たちがたくさんいた。そして、2005年にYouTube、2006年にニコニコ動画がサービスを開始して、FLASH動画のように個人サイトに動画を掲載する文化は緩やかに終わりを告げて、YouTubeやニコニコ動画などのプラットホームに動画をアップロードしてシェアする時代がやってきた。そんな時代背景の中で、初音ミクが生まれて、ここまで普及したと評価できる。

  

2023年12月3日 初音ミクとVOCALOIDについて語る(その1)

ポケモン×初音ミクのプロジェクトで、cosMo@暴走Pの「戦闘!初音ミク」が公開された。ポケモン赤・緑のBGMが随所に散りばめられている。しかもゲンガーとニドリーノが対峙している。ここはいろいろとネタを孕んでいて面白い。そして、楽曲中でモンスターボールを握って黒ミクに挑戦する初音ミクとそれに応える黒ミクも、ストーリー性があってとてもいい。歌詞だけでなく映像も含めて作品に仕上げてくるのが暴走Pである。その上、何となく「初音ミクの消失」を彷彿とさせるところも、機械としての初音ミクに改めて原点回帰しているところも、暴走Pらしさ全開で、ボクはとても感動している。

初音ミク関連で言うと、初音ミクが発売されたのは2007年だけど、ヤマハがVOCALOIDという音声合成技術を開発したのは2003年のことだ。それが製品化されたのは2004年で、最初は日本ではなくてイギリスで発売されている。1月にLEONとLOLAが発売された。英語のソフトだ。7月にMIRIAMが発売された。満を持して日本語版が発売されたのは11月。MEIKOだ。それから2006年に男性の歌声としてKAITOが発売された。つまり、初音ミクは日本語のVOCALOIDとしては第3弾と言える。そしてこのときまでは、VOCALOIDはキャラクターではなく、あくまでも女性の声のMEIKOと男性の声のKAITOというイメージだった。

2007年8月に初音ミクが発売されたときのことをボクはよく覚えている。水色のツインテールの女の子のアイコンが全面に推し出されていて、「あなたがプロデュースできるバーチャル・シンガー」というキャッチコピーみたいなものがついていた。レコードショップでも大々的に宣伝を打っていて、本気のプロモーションだった。この頃って、浜崎あゆみとか椎名林檎とか、セルフプロデュースアーティストの時代に移行していて、TKプロデュースやつんくプロデュースがちょっと下火になっていた頃だったけれど、ボクたちはTKやつんくを見て育った世代なので、音楽プロデューサというものに対する憧れがあったと言えばあったと思うし、懐かしさがあった。だから、単なる音声合成技術ではなくて、バーチャル・シンガーをプロデュースするという企画はとても魅力的だった。そんなことを「戦闘!初音ミク」を聴きながら、思い出しているボクである。

  

2023年12月1日 ポケモン×初音ミク

9月からポケモンと初音ミクがコラボしている。その第1弾としてDECO*27氏の「ボルテッカー」が公開され、その後、第2弾、第3弾……と稲葉曇氏、Mitchie M氏、ピノキオピー氏が続いている。第5弾はcosMo@暴走P氏で本日(12/1)、動画が公開されるはずだ。ポケモンも初音ミクも日本が誇るカルチャーなので、このコラボそのものは素敵だし、参加しているボカロPもそうそうたる顔触れだ。DECO*27氏は万人受けするキャッチーながらも変則的な楽曲で、稲葉曇氏は珍しくポップで、Mitchie M氏の楽曲は相変わらず人間が歌っているみたいに調教されているし、キノピオピー氏は感動的に仕上げている。

それにしても驚くべきはDECO*27氏の「ボルテッカー」だ。1,000万再生を突破している。プロのミュージシャンだって、YouTubeで1,000万再生を越えるのはなかなか難しいのに、DECO*27はボカロ曲で1,000万再生を突破していく。他の3曲も200万再生は軽く突破している。これだって凄いことだ。もちろん、それぞれの置かれている状況は異なる。ミュージシャンはCDやダウンロードがメインで、必ずしもストリーミング再生が本流ではないのかもしれない。それでも、勝負の相手は初音ミクなのだ。歌っているのは機械なのだ。YouTubeという世界において、たくさんの人間の歌い手たちが初音ミクに再生数で負けてしまう。物凄いことが起こっているよなあ。2007年に初音ミクが登場したときには、そんな未来は想像もしなかった。みんなが初音ミクを楽しんでいる。そういう時代である。

4曲を聴き比べるだけでも、同じ初音ミクという素材がボカロPによって全然、異なる表情を見せることが分かるはずだ。Pによって個性が出る。ボク個人としては、一番、初音ミクをかわいく見せるのはサイゼPだと思うので、このコラボにサイゼPも参加してくれればいいのに。そして、おそらく本日アップされるcosMo@暴走P氏も素敵な初音ミクの歌声を届けてくれることだろう。ああ。楽しみだ。

(※ 記事を投稿した時点ではcosMo@暴走P氏の「戦闘!初音ミク」はプレミア公開待ち)

  

2023年11月29日 峠を越えた!?

毎年のことながら、この時期は1月に向けて、雑誌作成に余念がない。でも、ようやくその終わりが見えてきて、ほっと一息をついている。今回は絵をたくさん描いた。妖怪の絵だ。相変わらず、iPhoneとタッチペン、Clip Studio PAINTでのお描きだ。かなり慣れてきて、小さなモニタながらも、それなりの絵が描けるようになってきた。そんなわけで乞うご期待だ。

これで、少しだけ「ファンタジィ事典」にエネルギーを振り分けられるだろうし、落ち着いて「日々の雑記」を書けるようになる……といいなあ(遠望)。さてはて。

  

2023年11月27日 イトマキエイは空を飛ぶ!?

フィリピンの妖怪について調べていて、今、パティン・ナ・パクパカン(Pating na Pakpakan)をまとめている。空飛ぶサメの妖怪である。そして、アスワン・プロジェクトの記事に、実はパティン・ナ・パクパカンは「マンタ」がモデルではないかと書かれていて、マンタについて調べてみたら、マンタが空を飛んでいた。マジか! イトマキエイって、空まで飛ぶのか。是非、ナショジオの映像でご確認ください。

ボク的には、イトマキエイがものすごい数の群れで泳いでいるシーンに度肝を抜かれて、こんなのに遭遇したら、失神してしまうと思った。でも、たくさんのイトマキエイが空を飛んでいるのを目の当たりにして、さらに度肝を抜かれた。知らないことってたくさんあるのだなあ。妖怪について調べていて、生命の不思議にぶち当たった日だ。

  

2023年11月25日 キャプテン・リノ!!

「キャプテン・リノ」で遊んでみた。2011年にドイツで作られたカードゲームだ。7枚の屋根カードが配られ、順番に手札の屋根カードを積み上げていく。屋根カードには指示が書かれているものもあり、手順を逆回りにしたり、相手に屋根カードを1枚引かせたり、スキップしたりする。そして、手札を屋根カードを全部積み切って、手札をなくしてしまったら勝ち。あるいは誰かがタワーを崩してしまったら負け。面白いのは、リノカード。このカードを出された次のプレイヤーは、キャプテン・リノの人形を屋根カードの上に乗せなければならない。

息子のツクル氏(小4)がキャッキャして遊んでいる。「ほら、パパー。キャプテン・リノ! キャプテン・リノ!! キャプテン・リーノー!!!」とリノカードを乗せてこちらを煽ってくる。クッソゥ。頑張って、下の段にいるリノを掴んで、そして最上階に乗せて……バラバラバラバラ……。タワーは無情にも壊れて、それを見てツクル氏はゲラゲラゲラ。

はらはらドキドキの連続で、もしかしたら、リノカードがときどき入ることで、メリハリが出来て、ジェンガよりも面白いかもしれないな、と思う今日この頃。

  

2023年11月23日 禁断の果実

8月15日に日出づる処よりで紹介したEast of Eden。アニソンやボカロ曲を弾いてみたでお馴染みのヴァイオリニストのAyasa氏が、ベーシストのわかざえもんやギタリストのYukiなど、YouTubeで活躍するメンバーを集めて編成したバンドだ。待望の2曲目が発表された。面子が面子だけに、ともすれば、このまま1回限りの夢のプロジェクトとして終わってしまうかな、と思っていたら、アルバム発売の発表があって、2曲目のMVが公開された。

2nd 『This Moment』

1st 『Evolve』

1曲目の「Evolve」はダークでクラシカルな激しいロックだったが、2曲目の「This Moment」は前曲に比べるとポップで軽い。1曲目とは全然、違う方向性だけど、ヴォーカルの湊あかねの尖った、そして高い声が活かされているし、わかざえもんのベースが縦横無尽に駆け巡っていて面白い。このメンバーなら、いろんな楽曲がやれるよという可能性を提示しているような気がして、アルバムに期待を持てた。

前の記事でも書いたが、ボクはAyasaとわかざえもんは昔から知っていたが、ヴォーカルの湊あかねとか、ギタリストのYukiとか、ドラマーのMIZUKIは知らなかった。いろいろとSearchしてみた結果、わかざえもんもそうだけど、YukiとMIZUKIのYouTubeもとても面白いことが分かった。自然体でいろんなことを楽しんでいる姿が好感を持てる。特に音ゲーに興じるMIZUKIとかが、ドラムを叩いているときとは違う顔を見せていて、とても面白い。そういう意味では、YouTube上で発信をするとても今っぽいメンバーだと思う。

ちなみに、East of Edenというのは、カインがアベルを殺害した後、彷徨って辿り着いた土地のことである。そこにカインは都市を建設した。12月に発売のアルバムは『Forbidden Fruit』。これは禁断の果実なので、アダムが食べた知恵の実のことだろう。ファンクラブは「楽園」だ。何となく、キリスト教的な世界観を構築しようとしているのかもしれない。

ちなみに、前回、ボクが日出づる処よりというタイトルで彼女たちを紹介したのは、主宰のAyasa氏がその昔、「Sword of the Far East」というプロジェクトを立ち上げていて、その意味を「遥か東方の小さな島国に潜む剣」と説明していたことに由来する。East of Edenにも「East」の字があったので、きっと、「Sword of the Far East」のときと同じように、東の島国・日本を意識しているのだろうな、と思っているんだけど、どうだろう。「東」という言葉には、日出づる処より世界に向けて……という力強いイメージが、ボクの中にはある。

  

2023年11月21日 サンタ・システム

そろそろ息子のツクル氏にクリスマスプレゼントを決めてもらうシーズンになった。ツクル氏の誕生日が12月なのもあって、一気にプレゼントをもらう格好になるので、なかなか彼も決めあぐねている。LEGOマインクラフトシリーズや「マインクラフト・ダンジョンズ」(Switch)などを検討している。

早々にサンタクロースのプレゼントを決めて欲しくて「サンタには何を頼む?」と訊いてみたところ、ツクル氏はニヤニヤしながら「親に言わないとサンタには伝わらないわけ? 心で思ってみたら伝わらないのかな?」などと言ってくる。どうやら、彼はサンタの正体に気づき始めているのかもしれない。小癪な! 面妖な! そんなわけで、そろそろ卒業なのかもしれない。

妻のちぃ子にそんな話をしたら、「ん? 両親がサンタ・システムに加入して申請してやらないとプレゼントは届かない仕組みだよ? サブスク的な? 子供の意向だけでは届きません。そう説明すればよかったのに」と返されてしまった。むむむ。こちらもこちらで面妖な!!

ちなみに、サンタクロースの元ネタになったのは聖ニコラスだけど、彼には従者がいる。クネヒト・ルプレヒト、クランプス、ペレ・フェタール、ベルスニッケル、ズワルテ・ピートなどなど。どの面々も子供たちを罰する存在で、子供にプレゼントをあげる聖ニコラスと対になっている。クネヒト・ルプレヒトなんかはブラック・サンタとも呼ばれるし、クランプスは悪魔のような姿をしている。大昔は、子供に対する二面性があったのである。

来月のクリスマスに向けて、この辺の詳細を調べて、ウェブサイトファンタジィ事典に反映させてみても面白いかなあ。

  

2023年11月19日 あっちゃんが再び世界史を語る!?

中田敦彦がYouTube大学でもう一度、世界史の授業をするらしい。全8回の予定で、「古代・中世」をヨーロッパ編、中東編、インド編、中国編の4部構成でやって、一度「大航海時代」を挟んだ後に、「近代」として欧米編、中東・インド・中国編の2部構成でやって、最後に「現代」でまとめるらしい。宗教史や経済史、メディア史など、さまざまな角度から歴史をぶった切ってきたあっちゃんが、もう一度、世界史と向き合って、再構築するというのだから、ワクワクが止まらない。

実は「世界の妖怪」を考える上でも、世界史とか地理、宗教、文化の知識って必須だ。そういう意味では、こうやってそれぞれの時代の出来事を、一気通貫、整理してまとめてくれると、通史が分かって、それぞれの時代の位置づけや文化・思想的な変遷が把握しやすい。この動画で、世界史ファンが日本中に増えるとよいな、と思う。今後の残りの7回に期待だ。

第1回の今回はあっちゃんならではの切り口で、ヨーロッパの歴史を振り返りながら、現代の状況や課題と紐づけて論じられるように、組み立てられている。たとえば、共和制と絶対王政みたいな政治システムの変遷や、多神教と一神教、その後の宗教的な対立みたいなものを平易な言葉で説明してくれて、常に現在の世界と比較して、自分ごととして考察できるように練られている。また、それぞれの時代の新しい概念の導入による覇権の変更と、その後の失敗による滅亡が明確に論じられている。面白いので、見ていない人は是非!! 動画そのものは長いけど、あっという間に見ることができるはず。

  

2023年11月17日 バハムートがはらぺこになったら大変だよねwww

先日、はらぺこバハムートをゲットした。これ、全部でカードが16枚しかなくて、全てが異なるカードである。山札からカードを引く呪文がたくさんあって、山札がなくなると捨て札が山札に早変わりするので、畢竟、相手のカードが読めるようになってくる。そうなると、カードを出す順番がとても重要になるので、単純なようでいて戦略性が高い。だから、面白い。絵もかわいい。

結局、ボクはこういう絵が素敵なカードゲームが好きなんだなあ、と思う。オススメ。ちなみに、バハムートはドラゴンだという言説がまかり通っているが、本来はアラビア伝承に登場する巨大な魚だよ! なぁんて、どうでもよいことを書いておくボクであることよ。

  

2023年11月15日 コピーライト的なものから普遍的なものへ

息子のツクル氏が父の影響で「妖怪」に興味を持ち始めた。何しろ、ボクがスマホやパソコンに向かって何か描いているときは、常に「妖怪」なのだ。「パパの描く絵は首がなかったり、目がいっぱいあったり、手がいっぱい生えていたり、変な絵ばっかりだよね」と幼稚園の頃に言われた。教育的にどうなんだろうか……と真剣に悩んだのも、今となっては懐かしい思い出(笑)。そんなツクル氏も、ゲームや小説、漫画を読みながら、朧げに「幻想生物」という概念が分かるようになってきた。どうやらドラゴンやペガサス、ユニコーン、ゴーレム、ゾンビなどは、ピカチューやクッパとは毛色が違うようだと気づいてきたみたいだ。

ピカチューはポケモンの世界に存在し、クッパはマリオの世界に存在する。でも、「幻想生物」はいろんな作品で取り上げられるので、共通の概念やイメージが相互のメディアの中で共有されている。そんな事実が感覚として分かってきて、そういう存在をツクル氏は「妖怪」と称するようになってきた。「これはパパの好きな『妖怪』でしょ。この現実世界にはいない動物でしょ」などと言っている。かわいいやつめ。

この辺、実はすごく難しくて、いつも例に出すんだけど、ドラキュラはブラム・ストーカーの創作だし、フランケンはメアリー・シェリーの創作だ。エントはトルキーンの創作だ。ミミックは本来は「ダンジョンズ&ドラゴンズ」のオリジナル・モンスターだ。全部、コピーライトがある。でも、メディアの中で繰り返しモチーフとして使われていく中で、いつの間にか共通の概念として普及する。そうなると、いつの間にかコピーライト的なものがなくなって、普遍化されていく。作者とは離れて、独立していく。

大昔の神話の中の幻想生物だって、結局は全て、誰かが語ったものだ。最初に言及した「作者」に当たる人物がいるはずだ。それが分からなくなって、普遍化したら「妖怪」になる。その辺の不思議な線引きが、ツクル氏にも分かってきたみたいだ。

だから『ダンジョン飯』を父の本棚から解放してみた。このタイミングなら、きっと面白く読めるのではないだろうか。

  

2023年11月13日 このギリシア神話は良本!?

図書館に行ったら、『ギリシア神話 オリンポスの神々(新装版)』(著:遠藤寛子,絵:小林系,青い鳥文庫,2011年)が置いてあって、絵がメチャクチャよい。これだったら、息子のツクル氏にオススメできる。嬉しくなって、ついついAmazonでポチってしまった。

最近の子供向けの本は、素人っぽい2次元系のイラストレータの絵が添えられていることが多いんだけど、この小林系氏の絵はチープじゃない。ちゃんと立体として人物が描かれているし、ギリシア神話の世界観を壊していない。格好いい。個人的にはとても好ましく感じる。こういう画家をもっと活用すべきだ。

内容も適切で、創世神話も簡単に載せているが、星座にまつわるようなエピソードもあれば、ペルセウスやヘーラクレースの冒険譚もあり、イーリアスやオデュッセイアの要約も載っている。この1冊でギリシア神話の全体がコンパクトに把握できるようになっている。良本だと感じた。

  

2023年11月11日 ビートルズの新曲!?

「すでにビートルズがほぼ全てのジャンルをやっている」と言われることがある。いろんなジャンル、可能性を追求した「ホワイト・アルバム」はビートルズの集大成だ。全方位無敵という感じ。そんなビートルズが「新曲」の「Now And Then」を発表した。すでにジョン・レノンとジョージ・ハリスンが亡くなっているのに、新たに楽曲が発表されるのだから、衝撃の作品である。

この楽曲は、レノンが生前に歌った音源からAI技術を駆使して、雑音とピアノの音を除去してレノンの声だけを取り出している。さらには1995年にいったんは残された3人のメンバーで再構築を試みた際のハリスンのギターの音源をも拾い出し、そこにポール・マッカートニーとリンゴ・スター、それにオーケストラの演奏を重ねて再構築したものだ。まさにあらゆる音楽に挑戦してきたビートルズが、AI技術をも駆使して発表した「新曲」。とてもビートルズらしい。

しかも、この楽曲のPVも、若かりし頃のレノン、ハリスンと、今の老齢なマッカートニーとスターを合成して茶化しながら作ってしまうのだから、もう完敗である。クネクネと動き回るレノンがかわいらしい。

そんなわけで、感動して聞き入ってしまった。あっという間にYouTubeが2,000万再生されている。それもまた衝撃的だ。常に最新技術と向き合ってきたビートルズが、最後の最後に、また挑戦している。まだ聴いていない人は要チェケラ!

  

2023年11月9日 家族deボドゲ!?

ボクの趣味趣向に感化されたのか、最近、妻のちぃ子もボドゲにハマっている。地域の仲のよいお母さんたちと一緒に、ボドゲ同好会なるママ友会を結成して、子供を集めて、ボドゲに興じている。

ボクは何となくファンタジーっぽい雰囲気のボドゲが好きだし、イラストが特徴的なボドゲが好きだ。その上で、ブラフっぽいゲームだったらなお良し。元々は「マジック・ザ・ギャザリング」とか九月姫さんのイラストでお馴染みの「モンスター・メーカー」シリーズとかが好きだった。この「日々の雑記」でも最近紹介しているところで言うと「こねこばくはつ」とか「ごきぶりポーカー」、「おばけキャッチ」なんかは、カードの絵柄が全て違うところがとても気に入っている。

ちぃ子は、子供たちと遊ぶことに主眼を置くので、どちらかと言えば、みんなでワイワイやるものが好きだ。「ナインタイル」とか「ブロックス」、「ウボンゴ」みたいなもの。こういうのは幾何学模様なので、ボクの食指は動かないんだけど、でも、楽しんでくれているので、一緒に面白いゲームを探している。

妻がボドゲ好きでいてくれると素晴らしいのは、ボクが何かを買ったときに、否定せずに理解してくれるところ。ボドゲが好きだなんて、あんまり言ってこなかったんだけど、子供と向き合う過程で、いろいろとゲームを引っ張り出して来たら、結果、こういう感じになって、家族一緒に楽しめている。ふふふ。

  

2023年11月7日 「ドラクエみたいなゲームをつくる」

プログラミングが小学生の必修科目になって久しい。我が家では、試しに息子のツクル氏にプログラミングを習わせている。小学4年生のツクル氏は、結構、こういうトライアル・アンド・エラー的な作業が好きみたいで、かなり熱中している。プログラミング教室でテンプレートをもらうと、大幅にアレンジしてみせる。先日は横スクロール系のゲームで、敵を避けてゴールを目指すプログラミングをしていたが、最初はアイテムをとったらジャンプ力が上がるみたいな改造をしているなあ、と眺めていたが、気づいたらレーザー銃を手に入れて敵を倒し、ひび割れた壁を破壊して先に進むなどの大幅改変を加えていてビックリした。

先日、「ドラクエみたいなゲームをつくる」と言い出した。直感的に、これはしんどいぞ、と思ったボクだ。ボクはツクールをベースにRPGをつくったことがある。結構、大変な印象がある。何しろ、マップをつくることが大変だ。16×16なのか32×32なのかは分からないが、格子状にして、そこにマップを配置していかないといけない。通り抜けられるマップと通り抜けられないマップの判定も必要だ。そもそも、RPGの場合、プレイヤーが上下左右を向かなければいけない。それも結構、大変。でも、ここまで作っても、あくまでもマップ上を歩くだけだ。戦闘になったら、変数をたくさん作らなきゃいけないので、超大変だ。

「大丈夫だよ。最初は簡単なダンジョンを歩くだけにする。敵も味方も1種類でつくるから」などと言っている。そうかなあ。仕方ないので、昔取った杵柄で、かつてお世話になったフリー素材サイトを巡回してみたが、時代は変わったなあ。もう、最近はドット絵を配布しているところが数が限られてしまっている。しかも、パッケージで販売しているところもあって、商売になっている場合もある。

ボクがウェブサイト「ファンタジィ事典」を編纂するようになったキッカケも、ウィザードリィやファイナル・ファンタジーだったりするので、息子を応援してあげようと重い腰をあげるボクである。願わくは、モンスターはボクのウェブサイトを参考に設定なんかを考えてくれるとよいのだけれど……むにゃむにゃ。

  

2023年11月5日 ボドゲで脳トレ、おばけキャッチ!?

『おばけキャッチ』というボドゲがひと昔前に流行ったんだけど、最近、入荷されていなくって、オンライン上でなかなか手に入らなかった。そうしたら、ひょんなことから近くのヨドバシカメラで大量に入荷していたのを発見して、ついつい買ってきた。

『おばけキャッチ』は白いオバケ、灰色のネズミ、緑の瓶、赤いソファ、青い本を並べて、カードを捲っていって、そこに描かれていない色、アイテムのものを瞬時に探してキャッチするゲーム。下の写真の例で言えば、赤いオバケと青い瓶があるので、(白い)オバケ、(緑の)瓶、赤(いソファ)、青(い本)はあるので、「灰色のネズミ」を最初に掴んだ人が勝利で、このカードをゲットできる。こうして、一番多くカードをゲットできた人が勝ち。早い話が、脳トレである。

で、ヨドバシカメラでいそいそと買ってきて開封したら、箱の中に最初っからネズミのコマが入っていなかった。それじゃ、ゲームできないじゃん。大慌てでヨドバシカメラに行ったら、すぐに別の箱と交換してくれた。やー、そんなことってあるんだなー。ちなみに、『おばけキャッチ2』というのも発売されていて(厳密には本家ドイツではもっといろんなヴァージョンが出ているんだけど)、こちらは女性のオバケとバスタブ、櫛、お風呂マット、カエルのセットだ。『おばけキャッチ』と『おばけキャッチ2』で組み合わせて使うことで、もっと難易度の高い遊びができるので、『おばけキャッチ2』も買ってみようかな。そんな風にカスタマー・レビューを見たら、カエルのコマが入っていなかったという苦情コメントが複数、あった。なるほど、コマの欠損はボクだけではなかったらしい。しかも、ネズミとカエルが梱包し忘れというのは、よくある事象らしい。どういう工場管理をしているんだよ、と思うわけだけれど、さてはて。家族で楽しくプレーした。息子も大喜びである。

さて、カエルのコマが入っていない可能性もあるわけだけれど、『おばけキャッチ2』も買ってみようかな。そうしたら組み合わせて遊べるもんね。ドキドキ。

  

2023年11月3日 小説『らせん』を読んだ。

貞子繋がりで『リング』を読み、そして『らせん』を読んだ。『リング』については小説『リング』を読んだ。で書いたので、今回は『らせん』の感想を書いてみたい。

超絶、面白かった。滅茶苦茶、ホラーだった。高野舞という女性は何を生んだのか。そして、高野舞の部屋から出てきた謎の女性は誰なのか。友人の宮下は山村貞子を追い掛けて、劇団「飛翔」のメンバーに会いに行く。そして、ファックスを送ってくる。ファックスを受け取った安藤は、その瞬間にすべてを了解し、謎が氷解する。ここが一番のホラーで、この作品のクライマックスだ。でも、映画にはこのシーンは存在しない。ここを描かずして、どうして『らせん』になり得るのか。ボクはこのシーンこそ、映画で見たかった。『らせん』を読んでいくと、徐々に読者は結論は分かってくる。繋がってくる。でも、その瞬間を目の当たりにするまでは信じられない。確認しなくてはいけない。そんな気持ちでページを繰っていく。そして、安藤が全てを了解して戦慄して、やっぱりそうだよね、と思う。ここが『らせん』の一番の見せ場ではないだろうか。

 

ウェブサイトでどれだけ「あらすじ」を把握していても、映画を観ていても、原作の小説を堪能しなきゃ分からないことってある。やっぱりエアプはダメだよねって思い知った。だからこそ、妖怪たちが登場する過去の作品(古典みたいなもの)は、エアプじゃなくって読んで解説しないとダメだよねって思うので、今、10,000円くらいする原典完訳の『アヴェスタ』を手に入れて読んでいる。意外と、これも面白い。ゾロアスター教って、なんて理性的かつ概念的な宗教なんだろうなって思う。神さまがみんな抽象度が高くって、全然、共感ができないんだよなあ。