2024年4月24日 ネットロアは都市伝説なのかネタなのか。

最近、朝里樹氏が精力的に都市伝説の本を出している。ボクは比較的、都市伝説も視野に入れて情報収集している方だが、結構、知らないものもたくさん載っている。最近の都市伝説はネットロアが多い。昔だったら、学校や学習塾が都市伝説の媒介になっていた。ときには雑誌やラジオというメディアが介入して、日本各地に広がっていった。今はインターネットの時代なので、当然、インターネット上で拡散していく。匿名の誰かが書き込んだ物語があっちこっちにコピペされながら、コメントがつけられながら、拡散していく。その拡散の速さは口伝えとは比にならない。そして、たくさんの都市伝説が量産されて消費されていく。

都市伝説の量産と消費が、ボクは少しだけ気になっている。昔は「トイレの花子さん」とか「口裂け女」、「人面犬」など、爆発的に子供たちの間で爆発的に拡散していったとは言え、口伝えだから、広がり方には限界があるし、ムラがある。話には尾ひれがついて変容していく。でも、ネットロアではログが残る。いつ、どこで、どのように語られたのか、最初の書き込みを辿ることができる。だから、みんなで少しずつ都市伝説をつくっていくというよりは、特定の「作者」の存在が透けて見える。ネタのように投稿して、バズっていく感覚がある。

だから、最近の都市伝説と呼ばれるものは物語の展開が複雑で、創作性が高い。ある意味ではよく出来ている。そういう匿名の誰かの創作物を、都市伝説の解説サイトや解説本で紹介することで、あっという間に都市伝説だと認定されてしまう。でも、本当にそれって都市伝説なのだろうか。創作ホラーとか、ネタの一種で、お遊びではないのか。書き手も読み手も、エンタメとして楽しんでいるだけで、リアリティを感じて怖がっているのかどうか定かではない。

山口敏太郎氏の本は、そういう意味で、何でもありという感覚があった。最近の朝里氏も、有名なものを紹介し尽くして、マニアックなものを紹介し出して、少しだけ、その方向性を感じている。ボクも「ファンタジィ事典」を運営しているので、そういう意味では、同じ穴のムジナなので、気を引き締めなきゃいけない。まあ、ボクもごった煮な感じで、混然一体とはしているのだけれど……。