パティン・ナ・パクパカン

分 類フィリピン伝承
名 称 Pating na Pakpakan(パティン・ナ・パクパカン)【フィリピン諸語】
Tiburones(ティブロネス)【フィリピン諸語】
容 姿巨大なサメ。
特 徴鋭い歯、強力な顎を持ち、空を飛ぶ。
出 典

空飛ぶサメは上空から襲い来る!?

パティン・ナ・パクパカンはフィリピン伝承の海の怪物で、ビコル地方の「イバロン叙事詩」に登場する。巨大なサメに似た怪物で、鱗状の丈夫な身体、ノコギリのような鋭い歯、岩をも砕くほどの強力な顎を持つ。しかし、何よりも恐ろしいのは、この怪物は「空飛ぶサメ」である。上空を旋回し、狙いを定めて急襲してくる。

「イバロン叙事詩」によれば、英雄ハンディオンと仲間たちが対峙し、諦めずに戦い続け、最終的には退治して、飼い慣らしたとされる。

現地語のパティン・ナ・パクパカンよりも、英語表記のティブロネス(tiburones)の方がよく知られた名前かもしれない。ティブロネスはスペイン語で《サメ》を意味するtiburón(ティブロン)に由来する。おそらくスペイン統治時代の名残なのだろう。

空飛ぶサメは実在する!?

ちなみに「空飛ぶサメ」というのは、実在のイトマキエイ(マンタ)の生態に影響を受けていると指摘する説もある。実際にイトマキエイは水中から飛び出して、水面を数メートル滑空する。イトマキエイが空を飛ぶ理由や目的はまだ解明されていないが、巨体が滑空する姿は衝撃的である。

でも、イトマキエイとサメは、あんまりフォルムが似ていないような気もするし、イトマキエイはプランクトンを捕食するおとなしい生き物なので、この説の真偽は不明である。

《参考文献》

Last update: 2023/11/26

サイト内検索