トヨクモノ

分 類日本神話
名 称 豐雲野神(トヨクモノノカミ)〔記〕【日本語】
豐斟渟尊(トヨクムヌノミコト)〔紀〕【日本語】
容 姿
特 徴雲を神格化した神。
出 典『古事記』(8世紀頃)、『日本書紀』(8世紀頃)ほか

雲を神格化した神さま!?

トヨクモノは記紀神話の「天地開闢」の神話に登場する神。「トヨ」は豊か、「クモ」は雲、ノは「野」なので「豊かで雲が覆う野の神」という意味で、雲を神格化した存在と考えられる。5人の別天神(ことあまつかみ)の誕生で「天」が完成した後、クニノトコタチに続いて生まれた。国土(大地)ができ、雲が立ち込め、これによって大地に雨が降るイメージを神話にしたものかもしれない。

『日本書紀』の第1の一書には豐國主尊(トヨクニヌシノミコト)が登場するが、これもトヨクモノと同一の神と考えられている。

 次成神名、國之常立神(訓常立亦如上)、次豐雲(上)野神。此二柱神亦、獨神成坐而、隱身也。
 次成神名、宇比地邇(上)神、次妹須比智邇(去)神(此二神名以音)、次角杙神、次妹活杙神(二柱)、次意富斗能地神、次妹大斗乃辨神(此二神名亦以音)、次於母陀流神、次妹阿夜(上)訶志古泥神(此二神名皆以音)、次伊邪那岐神、次妹伊邪那美神。(此二神名亦以音如上。)
 上件、自國之常立神以下伊邪那美神以前、幷稱神世七代。(上二柱獨神、各云一代。次雙十神、各合二神云一代也。)

 次に生まれた神の名前は、クニノトコタチで、次がトヨクモノである。この2人の神もまた獨神となって身を隠した。
 次に生まれた神の名前はウヒヂニとスヒヂニ、その次がツノグヒとイクグヒ、その次がオホトノヂとオホトノベ、その次がオモダルとアヤカシコネ、その次がイザナキとイザナミである。
 上述のクニノトコタチからイザナミまでを合わせて神世七代(かみよななよ)と言う。

(『古事記』「上-2 神代記」)

《参考文献》

Last update: 2020/08/24

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