シグビン
分 類 | フィリピン伝承 |
---|---|
Sigbin(シグビン)【フィリピン諸語】 Segben(セグベン)【フィリピン諸語】 Amamayong(アママヨン)【フィリピン諸語】 | |
容 姿 | 二足歩行の獣。ヤギのような頭、ウサギのような耳、裂けた口と太い牙、長い尾を持つ。 |
特 徴 | 夜行性。影から生き血を啜る。二足歩行で後ろ向きに歩く。シグビナンに飼育されているとも。 |
出 典 | - |
人間の影から生き血を啜る二足歩行の獣!?
シグビンはフィリピン各地(主にヴィサヤ地方)でよく知られる獣の妖怪である。イヌとヤギ、カンガルーを組み合わせたような獣で、大きなイヌかヤギくらいのサイズで、カンガルーのように前脚を持ち上げて、後脚で跳ねるように移動する。ウサギのような長い耳を持ち、移動するときには2つの耳をパチパチと打ち鳴らす。耳元まで裂けた口には太い牙が生えている。長い尾を鞭のように操る。
シグビンは夜行性なので、日中は姿を見せず、日が沈むと活動を開始する。人間の目には見えないほどの速度で移動するとされ、姿を消すこともできるとも信じられている。しかし、吐き気をもよおすほどの体臭を放っているため、シグビンが近くにいると臭いで分かるという。シグビンは頭を低く下げて、後ろ向きに歩くという説もある。
シグビンは死期が近い人間の放つ独特の臭いに引き寄せられるという。シグビンに舐められると精気を吸い取られて死期が早まってしまうという。それだけでなく、シグビンはその人の影からも精気を吸うことができるとされる。影を噛まれた人間は病気になったり、死んでしまったりするというから恐ろしい話である。
シグビンを飼育する一族!?
ヴィサヤ諸島やミンダナオ島などでは、シグビンを自由に操れる一族がいて、この一族のことをシグビナンと呼んでいる。シグビナンはシグビンを木炭の入った粘土の壷に保管しているという。そして、シグビンを使役して、誰かを傷つけたり、富をうばってきたりする。そのため、シグビナンの一族は繁栄するという。日本で言うところのイヌガミやクダギツネなどの憑き物筋のイメージに近いかもしれない。
シグビンは乗り物として活用できるらしい。尻尾の方を向いてシグビンの背中にまたがり、尻尾の付け根を軽く叩くと、稲妻のように速く走るという。アスワンもシグビンを使い魔として使役することがあるという。
シグビンは未確認生物!?
ちなみにセブ島でシグビンが捕獲されたなどのニュースが報じられることもある。実際、シグビンに家畜を襲われたなどの報告もあり、近年ではシグビンが未確認生物のような取り扱いをされることもある。捕獲されたシグビンの写真が公開されていることもあるが、その姿はまるで中南米の未確認生物であるチュパカブラスのようなである。
《参考文献》
- The Aswang Project: A Compendium of Creatures from Philippine Folklore & Mythology(英語)
- Art & Fiction + Philippine Folklore & Mythology: Monsters & other supernatural beings from Filipino folklore & myths(英語)
Last update: 2024/01/13