火星人(カセイジン)

分 類サイエンス・フィクション(宇宙人)
名 称 火星人(カセイジン)【日本語】
Martian(マーシャン)【英語】
容 姿タコ型宇宙人。
特 徴円筒型宇宙船、謎の熱戦、戦闘機械など、高度な技術で地球に侵攻した。
出 典ウェルズ『宇宙戦争』(1897年)ほか

火星人!
ウェルズのイメージした火星人

タコ型宇宙人、戦闘機械に乗ってロンドンに侵攻する!?

火星人(カセイジン)は、かつて火星に棲んでいると考えられた知的生命体。火星人といえば、タコ型宇宙人として想像されることが多い。

1877年にイタリアの天文学者スキアレッリが火星に線状の模様を発見したが、イタリア語の「溝」が英訳の際に「運河」と誤訳されて発表されたため、人工物を作った知的生命体がいると考えられるようになった。また、この「運河」は火星全体に縦横無尽に張り巡らされており、これだけの大規模構造物を建造できるなら、地球人よりも進んだ文明を持っていると唱えられるようになった。

火星人がタコ型宇宙人として決定づけたのは、イギリス人作家のハーバート・ジョージ・ウェルズである。彼はSF小説『宇宙戦争』(1897年)の中で、タコのような火星人を描き、そのイメージが定着した。そこで描かれる火星人は、異常に発達した頭脳に対して四肢が退化しており、消化器官も退化していて動物の血液を摂取する。ウェルズは一応、火星の環境を考慮して、火星では重力が地球よりも小さいため、身体を支える構造が軟弱となり、空気が薄いために空気を吸い込む部分が大きくなるなどとして、タコ型にしたという。

『宇宙戦争』の中では、円筒の飛行物体に乗って、次々に火星人がやってくる。目に見えない熱線で町を焼き払い、イギリス軍も出動するが、火星人は3本脚の戦闘機械(トライポッド)に乗って攻撃してくる。イギリス軍は総崩れで、遂には英国政府も「火星人の侵攻を阻止し、ロンドンを防衛するのは不可能」として避難勧告を出す。15日目の朝、町は静まり返り、火星人の姿がない。戦闘機械に恐る恐る近づくと、主人公は火星人たちの死体を発見する。地球の病原体に耐性がなかった火星人は、あっという間に全滅してしまったのである。

ちなみに、ウェルズ以外で火星人をタコ型で描いた有名な作家は少なく、ヒューマノイド型宇宙人やリトル・グリーン・マンなどの「緑の小人」型など、さまざまな火星人が描かれているが、それでも、火星人がタコ型であるというウェルズのイメージは根強く定着している。

《参考文献》

Last update: 2020/05/02

サイト内検索