ロビスオーメン

分 類南米伝承
名 称Lobisomem(ロビスオメーン)【ポルトガル語】
 ※ ポルトガル語のlobo《狼》とhomem《人間》の合成語
Lobisón(ロビソン)【スペイン語】
容 姿二足歩行の狼、あるいは人間の頭を持った狼。
特 徴人狼。旅人を襲う。噛みつくことで伝染するとも。

南米に伝わるオオカミ男!?

ロビスオーメン、あるいはロビソンは南米の人狼。ブラジルやウルグアイ、パラグアイ、アルゼンチンなどに伝わっている。ロビスオーメンは、ポルトガル語のlobo《狼》とhomem《人間》の合成語で、その姿は直立歩行する狼だとか、人間の頭部を持った狼だとされる。昼間は人間と変わらない姿をして村に紛れ込んでいて、夜になると変身して、旅人や村人を手当たり次第に襲うため、村の住民を恐れさせたという。特にキリスト教の洗礼を受けていない子供は狙われやすいという。

男兄弟、あるいは女姉妹の7番目の末っ子は、大人になるとロビスオーメンになると信じられた。子供の頃は他の子供と特に変わらないが、成長して大人になると、満月の金曜日の晩に凶暴で恐ろしいロビスオーメンになってしまうという。その他にも、犬の皮の上に寝転んでしまうとロビスオーメンになるとか、ロビスオーメンに噛みつかれると感染してロビスオーメンになると信じられた。ロビスオーメンに噛まれた場合には、他人を噛んで感染させる治るとも信じられている。ロビスオーメンの身体は頑丈で、なかなか有効な攻撃はないが、聖水に浸した弾丸を撃ち込むことは有効だとされる。

人間の姿になっているときのロビスオーメンは家畜の飼育場などを好むとされ、ブラジルやウルグアイの女性は、飼育場の近くをうろつく男性に声を掛けられても、警戒して一緒には出掛けないという。

パラグアイのグアラニー族の神話には、ルイソンという狼男が登場する。悪神タウと眠りの女神ケラナの間に生まれた7番目の子供である。

法令20,843号「大統領保護法」!?

その昔、アルゼンチンでは、ロビソンの誕生を恐れ、男ばかりの兄弟で7番目の末子が生まれるとすぐに殺されてしまったという。この迷信に対して、アルゼンチン政府は、大統領がその子供の身元を保証する制度をつくった。それが法令20,845号の「大統領保護法」で、国が正式に「この子供は大丈夫」という証明書を発行することで、7番目の子供が殺されることを防いでいる。女性ばかりの姉妹の7番目の末子にも、この証明書は発行される。

《参考文献》

  • 『南米妖怪図鑑』(文:ホセ・サナルディ,画:セーサル・サナルディ,ロクリン社,2019年)

Last update: 2022/03/10

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