クラバウターマン

分 類ヨーロッパ伝承(ドイツ伝承)
名 称 Klabautermann(クラバウターマン)【ドイツ語】
Kalfatermann(カルファターマン)【ドイツ語】
Klabattermann(クラバッターマン)【ドイツ語】
容 姿通常は姿は見えない。16cmほどの老人。黄色い服を着て、水兵帽をかぶる。パイプと木槌を持つ。赤毛で緑の歯を生やしている。
特 徴船倉に棲みつき、船の航路に危険が迫ると出現する。甲板を叩いて騒音を出すなどのいたずらもする。
出 典

船を守護する船憑き妖精!?

クラバウターマンはバルト海や北海などを航行する船乗りや漁師たちの間に伝わる船の精霊である。船に宿っていて、通常、その姿は見えない。船の航行に危険が迫ると持っている木槌で甲板を叩くなどして警告する。

いたずら好きで知られ、いつもは船倉に棲みついて、甲板を叩いて騒音を立てる。このため、クラバウターマンという名前は、ドイツ語のklabastern(クラバースタン)《騒音を立てる》に由来すると考えられている。揚錨機(錨を巻き上げる歯車式の機械)の下に潜んでいるときもあり、錨を勝手に投げ、巻き上げるなどのいたずらもする。

クラバウターマンの姿を見た船乗りたちによれば、クラバウターマンの背丈は16cmくらいと小型で、黄色い服に水兵帽をかぶった老人だという。パイプを燻らせて、手には木槌を持っていることが多い。この木槌はコーキングハンマーと呼ばれ、船底の木の板などに隙間ができて水が船内に侵入してこないように、隙間に詰め物を押し込むのに用いられた。そのため、ドイツ語のkalfatern(カルファタン)《コーキングする、填隙する》という動詞に由来するカルファターマンという別名もある。赤毛の髪に緑の歯を持つとも言われている。緑の歯というのは、緑の牙のジェニーに見られるように、しばしば、イギリス系の水の精霊たちの特徴のひとつなので、クラバウターマンも水の精霊ということなのだろう。1885年に描かれたクラバウターマンのイラストは、長い手足の指の間には水掻きが描かれ、尾びれのようなものが付されている。

クラバウターマンが船上に出現するときは、その船に危機が迫っていることを意味する。また、クラバウターマンは船が沈むまでは船から離れることはないと信じられている。ただし、帰路にある船が港に到着すると、船長の家に船の到着を報せるために下船するとも言われている。

邪悪な性格のクラバウターマンの伝承も伝わっていて、たくさんのいたずらをして、乗組員を破滅に導くこともある。そうならないように、船乗りたちは鶏を船に積み込み、クラバウターマンに貢ぎ物として捧げたという。航海の無事を祈念してクラバウターマンの姿を彫ってマストにつけることもあったようだ。

ちなみに、ドイツのブレーマーハーフェンは北海に面する港町だが、この地域では、人が亡くなると霊魂は樹木に宿ると信じられていたようだ。そして、その樹木がマスト(帆柱)に使われると、それがクラバウターマンになると伝えている。個人的には、船の精霊が宿るなら、竜骨の方が最適な気がするが、そうではなく、帆柱の方らしい。

ゴーイング・メリー号の化身!?

尾田栄一郎の漫画『ワンピース』にも、クラバウターマンは登場する。麦わら海賊団の乗り込んだゴーイングメリー号は空島に到着するが、過酷な旅で船はかなり損傷していた。夜、狙撃手のウソップは、霧の中でメリー号を修理する小さな妖精の姿を目撃する。次の朝、下手くそながら、船は修復されていた。一味はメリー号を修理するために造船の街「ウォーターセブン」に向かうが、船大工たちにメリー号は損傷がひどくて修繕は不可能だと宣言されてしまう。そんな中、フランキーによって「クラバウターマンの伝説」が語られる。司法の島「エニエス・ロビー」で海軍に追われて窮地に陥ったルフィーたちの前に、メリー号は自らの意志で助けに来た。そして、テレパシーでルフィたちに別れを告げて沈んでいく。

《参考文献》

Last update: 2023/01/18

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