ケンムン

分 類日本伝承
名 称 ケンムン【日本語】
容 姿子供くらいの大きさ。頭に皿、猿のような顔。頭はおかっぱ。全身に体毛がはえる。
特 徴指の先に火を灯す。涎から悪臭がする。人間の仕事を手伝い、悪戯をする。
出 典

奄美群島に棲む河童の仲間!?

ケンムン、あるいはケンモンは奄美群島に伝わるガジュマルの木に棲む妖怪。河童(カッパ)や沖縄県のキジムナーなどの特徴に似ている。ケンムンは「化け物」の訛りとされるが、古くは江戸時代末期の文献『南島雑話』に「水蝹(けんもん)」として記述されている。相撲好きで、頭に皿があり、樵(きこり)の仕事を手伝うなどとされる。身体と不釣り合いに細い足や腕を持ち、頭の上の皿には油を溜めている。変身能力に長け、相手と同じ姿になったり、ウシやウマなどに化けて人間を脅かす。しかも、発光したり、怪しい火を灯す。指の先が燃えるとか、涎が燃えるとか、あるいは皿の油が燃えるなどと言われる。

ケンムンの顔は犬や猫、猿などの獣のようで、口は尖っている。髪はおかっぱで、全身には猿のような体毛が生えている。涎からは悪臭を放つ。ガジュマルの木に棲んでいることから木の精霊と考えられる。この木を切り倒すとケンムンに祟られる。ケンムンに祟られると、目の病気になり、酷い場合には失明したり、場合によっては死に至ることもある。

漁が好きで、夜中に海辺で指に火を灯して漁をする。キジムナーに似て、魚の目玉を特に好む。猟師が魚を捕りに行くと、たまにたくさん魚が捕れるときがあるが、そういう場合には目玉が抜かれていたなどと伝わる。タコを嫌うため、追い払うときにはタコを投げつければよいという。

悪戯も好きで、いろいろなものに化けて人を脅かしたり、道に迷わせたり、食べ物を盗んだりする。船に巨大な石を投げたとか、木が倒れる音がしたなどの伝承もある。子供をさらって魂を抜き取ることもある。その場合、その子供はケンムンと一緒になってガジュマルの木に棲むとされ、藁を鍋蓋のような形に編んで子供の頭に乗せて棒で叩くと元に戻るという。

《参考文献》

Last update: 2020/04/26

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